工学部研究紹介2017|信州大学
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金属を溶かさないでリサイクルするコールドリサイクル(特許4505632)省エネルギーと温室効果ガス排出量大幅削減を可能にする写真サイズ高さ4.35cm×幅7.5cm配置位置横11.4cm、縦2.85cmヒノキから製造された透明性圧縮木材(特許4359681)写真サイズ高さ4.35cm×幅7.5cm配置位置横11.4cm、縦8.15cm北澤研究室研究から広がる未来卒業後の未来像北澤研究室では、製品ライフサイクル(製造・使用・リサイクル)中に生じる環境問題(資源枯渇・地球温暖化・人の健康被害等)を改善する新しいエコテクノロジーの開発に取り組んでいます。①大量生産・大量消費・大量廃棄からの脱却を可能にし、必要な物を必要な量だけ迅速に製造するインクリメンタルフォーミング、②プラスチックなどの石油資源依存からの脱却を可能にし、安全な植物を原料とする機能性新素材、③金属リサイクルの環境問題(エネルギー消費・温室効果ガス排出・品位低下)を解決する新しい金属リサイクル(コールドリサイクル)を研究しています。金属を溶かさないでリサイクルでき、しかも、このリサイクルされた金属板は素板と同等以上の加工性があることも明らかになってきました。「究極の省エネリサイクル」という夢の可能性が見えてきました。透明性圧縮木材は、実験中に偶然発見された透明性材料です。安全で持続可能な資源から製造できるエコ透明性材料であるため、様々な製品への用途展開が期待されています。金属・セラミックス・高分子・植物等を用いた製品製造やリサイクルについてのエコテクノロジーの実験的研究を行った卒業生の皆さんは、電気電子機器・自動車・精密機器・エクステリア・金属などのメーカーで技術者として活躍しています。北澤君義教授東京工業大学大学院修了後、長岡技術科学大学助手、信州大学助手、助教授を経て2004年より現職。研究分野は環境材料、リサイクル、塑性加工。文部科学大臣賞(日本工学教育協会)受賞。究極の⾦属リサイクル「コールドリサイクル」植物から透明なエコ新素材「透明性圧縮⽊材」機械システム⼯学科研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワードインクリメンタルフォーミング・コールドリサイクル・塑性加⼯・透明性圧縮⽊材・エコマテリアル【先生の学問へのきっかけ】私の学問へのきっかけは「形が好き」です。小学生の頃は絵・蝶・花・工作が「好き」でした。中学生になると地図が「好き」に加わりましたが、ダントツに「面白い」と思ったのは、ピタゴラスの定理の証明でした。目に見えない抽象的な物を形という具体的なイメージで証明できる点は、驚きでした。形や色や動きが好きなため、自動車・鉄道・ロボットなど目に見える物たちで溢れている機械工学に進みました。入学してみると、そこは「力学」の世界でした。力は目に見えなく、形としてイメージできないため、当初は感覚的に違和感がありましたが、勉強していくうちに、形という具体的なイメージで理解できることがわかり、この違和感は消え、「好き」の仲間がどんどん増え、「知りたい」が湧き出るようになりました。■インクリメンタルフォーミング(金型を用いない金属成形)①知能化インクリメンタルフォーミング形状修正(仕上げ成形)の自己習熟化(成形機の知能化)スプリングバック零化技術普通の材料→室温で超塑性に近い延性発現(右図参照)②不均一金属薄板のインクリメンタルフォーミングテイラードブランク、多孔板③高速化・高強度化・板厚均一化(板材成形、チューブフォーミング)④局部増肉化(板材成形、チューブフォーミング)■コールドリサイクル(熔解過程を経ない金属の室温リサイクル)①温室効果ガス排出量・エネルギー量消費量→1%以下②品位維持(酸化被膜除去→自己移植コールドリサイクル)③アップグレード→コールドリサイクル鋼板の深絞り性>素板■圧縮木材①透明性圧縮木材②高意匠性(右図参照)③圧縮高強度高密度化→機械材料(ネジ等の機械締結可能)④炭素長期固定用材再生化(松くい虫被害材、台風被害材・雪害材)■米糠利用の生分解性容器(量産とカスタムメード)●企業との共同研究圧縮木材、インクリメンタルフォーミング等●科学研究費補助金インクリメタルフォーミング、透明性圧縮木材、コールドリサイクル日本塑性加工学会理事金属薄板の球状インクリメンタルフォーミング信州カラ松丸太の角柱状圧縮成形(皮付節付のまま)106

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