工学部研究紹介2017|信州大学
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卒業後の未来像研究から広がる未来浅岡研究室エネルギーを有効に活用することでエネルギー問題の解決を目指す浅岡研究室では、エネルギーや熱といった目に見えない現象を扱うため、仮説と実証により問題を解決するスキルが磨かれます。また、実験装置の設計や製作を自分たちで行うため、何でも自分で作れるという自信が身につきます。卒業後は、これらの経験を活かして、周りをリードする独創的なエンジニアとして活躍してくれると信じています。浅岡龍徳准教授東京工業大学大学院博士課程を修了後、青山学院大学助手、同大学助教を経て、2013年より現職。熱工学、伝熱工学、冷凍技術に関係した研究に従事。卒業研究の風景機械システム工学科化石燃料の枯渇や原子力の安全性への不安からエネルギー不足に対する危機意識が高まっています。浅岡研究室では、エネルギーを無駄なく有効に活用するための技術に関する研究を行っています。例えば、太陽のエネルギーは、太陽光発電だけでなく、熱エネルギーをうまく回収することでさらに有効に利用することができます。また、吸収式冷凍機を使うことで、今まで利用されることが少なかった80~200℃の廃熱を、冷凍や冷房に利用可能な(価値の高い)熱エネルギーとして生まれ変わらせることができます。冷凍冷房機器に蓄熱システムを組み込むことで、機器の運転条件を最適化し消費電力を抑えることが可能になります。今後、クリーンなエネルギーに依存した社会をつくっていくためには、これらの技術は不可欠です。自然と調和しつつエネルギー不足を回避するためには、新エネルギーを開発するだけでなく、エネルギーの使用量を減らすことが不可欠です。太陽熱利用、吸収式冷凍機、蓄熱システム、ヒートポンプなど、エネルギーの有効活用の研究は、人々の未来の暮らしを豊かにします。研究シーズ共同研究・外部資金獲得実績社会貢献実績研究キーワードエネルギー・熱工学・冷凍・太陽エネルギー・ガスハイドレート・氷蓄熱・固液二相流【先生の学問へのきっかけ】常識をくつがえすような新技術の誕生により時代や文明が大きく前進してきました。そんな新しいアイディアを自分でうみだすことができたらカッコいいと思っています。エネルギー問題は私が子供のころからの大問題ですがいまだに大した進歩がなく、まさに今までの常識では解決できない難問に違いありません。エネルギーや熱は目に見えず扱うのが難しいですが、知れば知るほど面白いと感じます。まだほど遠いですが、未来の新発見に向けてがんばっています!•廃熱・太陽熱の有効活用•氷スラリー(氷-水溶液の固液二相流)の利用による高機能熱輸送媒体の開発•エリスリトール水溶液スラリーなどを用いた高温用熱輸送媒体の開発•氷蓄熱を備えた吸収・吸着式冷凍機に関する研究•ガスハイドレートの生成・分解特性の把握•その他、伝熱機器の設計・改良、氷の凍結などに関する研究•蓄熱型蒸発器を備えた吸収式冷凍機による低質未利用熱の有効活用(科研費若手研究B)•光/熱成分の分離利用による太陽エネルギーの高度利用(中部電気利用基礎研究振興財団研究助成金)•低温地熱および太陽熱の有効利用を目的とした蓄熱型吸収式冷凍機の性能評価(不二科学技術財団研究助成金)•氷スラリーの流動状態における速度境界層・温度境界層の形成メカニズムの解明(前川報恩会学術研究助成)•微細管内での上水の過冷却維持性に関する検討(民間企業との共同研究)経済産業省資源エネルギー庁次世代型熱利用設備導入緊急対策事業審査委員会委員高圧ガス保安協会専門委員InternationalInstituteofRefrigeration(国際冷凍学会)B1commissionmember日本機機械学会環境工学部門運営委員会委員日本冷凍空調学会論文集編集委員会幹事、論文集特集チーフエディタ日本伝熱学会協議員日本熱物性学会評議員学生の自作による実験装置。(模擬)太陽のエネルギーを光と熱に分離して利用する実験(左)太陽熱をできるだけ高温で集め、高温のまま流動輸送する実験(右)吸収式氷スラリー生成機の試作機新エネルギーとして期待されるガスハイドレート。生成・分解時には純物質と異なる特異な挙動をする。さまざまな工夫をして、安定して高純度で作れるようになった。この試料で分解挙動の実験をする。吸収式冷凍機により、廃熱のエネルギーを冷凍用途として有効利用する研究。図のように、減圧により水は蒸発し、その作用で冷却されて凍結する。吸収式冷凍機の再生器に廃熱を供給し続けることで、冷凍用途に利用可能な氷を連続的に作ることができる101

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