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信大キャンパスの樹長野(工学)キャンパスシラカシ文・写真/荒瀬 輝夫No.22外観美を誇るシラカシ、強靱なる材こそが本領。シラカシはブナ科コナラ属の常緑広葉樹。生長すると直径1m、樹高20mに達する高木で、本州以南の暖地に自生する。県内では下伊那地方が自然分布域と考えられている。街路樹や生垣、屋敷林に植栽されることも多く、関東でカシといえばほぼシラカシをさす。生育の北限は宮城県の低地で、カシ類中、最も寒地で生育できる。長野(工学)キャンパスでは物質工学科北棟・南棟の間の中庭に、若いシラカシの並木がある。樹皮が灰黒色なので、真逆の「クロガシ」という名もある。葉は光沢があって縁に鋸歯があり、葉裏は灰緑色、葉先がやや尾状に伸びる。コナラ属では、年によって堅果(ドングリ)の豊作・凶作のはっきりした樹種が多いが、シラカシはほぼ毎年シラカシの堅果。同心円模様の帽子のような総苞(殻斗)をもつ。ちなみに、ナラ類では堅果の総苞は鱗状になる。シラカシ(Quercus myrsinaefolia Blume)樹高11.0m、幹の胸高周囲88.0cm。29信大NOW No.91 2015.1.30 掲載結実する。なお、シラカシのドングリはアクが強い。食糧不足のときに渋々、アク抜きして食べた程度か。もともと、庭園樹ではなく実用の木である。まずは緑陰・防風・防火の効果。関東の冬のからっ風と夏の暑さには、成長が比較的早く、年中密に葉の茂るシラカシはうってつけだ。それと、やはり材の利用である。赤身のアカガシに比べ、材が白いのでシラカシと名付けられた。堅く重く強靭で磨耗にも強いので、建築材、船の櫓、鑿(のみ)の柄、かんな台、槍の柄などに用いられてきた。とりわけ有名なのは木刀である。堅くても、少々叩いて割れてしまうようでは役に立たない。堅さと粘り強さがシラカシの真骨頂だ。長野(工学)キャンパス物質工学科南棟物質工学科南棟電気電子工学科西棟電気電子工学科西棟

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