shindainoki_32web
26/32

信大キャンパスの樹上田キャンパスネムノキ文・写真/岡野 哲郎No.19上田キャンパス26信大NOW No.88 2014.7.31 掲載夏をよぶ合歓の花、その色彩は妖艶。ネムノキはマメ科の落葉高木。日本では本州以南に自生し、中東や中国南部にも分布する。河岸や原野などの開けた場所に多い。マメ科樹木は、特に熱帯域に豊富で、フィリピンなどの土産屋でよく目にする木製食器のほとんどは、マメ科樹木を利用している。梅雨時ともなると、淡紅色の羽毛のような花を枝先に咲かせる。他の樹木の花とは全く異なるエキゾチックな風情で、夏の到来を感じさせる。淡紅色をしているのは花弁ではなく多数の雄しべで、10~20個の花が集まって咲き、遠目に羽毛のように見えるのである。材には器具材、箱材などの用途が、樹皮には利尿、強壮、鎮痛などの薬効が知られている。今日では、花の美しさもあって、また養分の乏しい土地にも耐えるため、街路樹や庭園木として植栽されている。葉は小葉が多数集まって1枚の葉をつくる偶数羽状複葉で、向かい合う小葉は夜間に閉じる就眠運動をする。ネムノキの語源とされる「眠る木」や、漢字で「合歓木」と書くのは、この葉の特性に由来するのである。葉を閉じてしまうのは、光合成を行わない夜間に葉から水分が蒸発し、樹体内が水不足とならないようにするためと考えられている。上田キャンパスの正門からほど近い緑地で、大きな樹冠を広げ、花期には見事な景観を提供する。もう花の盛りは終わりであるが、秋には沢山の豆果をぶら下げて、マメ科樹木であることを誇示することであろう。複数の花から伸びる多数の雄しべが羽毛のように広がっている。花糸が淡紅色を呈し、独特の花色となる長野(教育)キャンパスで撮影)。ネムノキ(Albizia julibrissin Durazz.)樹高15.9m、幹の胸高周囲223.8cm。ね む機能機械学棟図書館正 門

元のページ  ../index.html#26

このブックを見る