理工系学部研究紹介2016|信州大学
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卒業後の未来像⾦井研究室くらしLife繊維学部金井博幸准教授信州大学繊維学部を卒業後2003年より繊維学部助手、2007年より助教、2009年より講師、2011年より現職。研究分野は感覚計測工学、生体機能計測工学。五感を科学して製品の付加価値を向上スーツを着たヒトの筋肉の活動(筋電図)を測ることで、そのスーツがどれだけ動きやすいかを知ることができる布の光反射を測定してヒトが感じる「深み」や「艶やかさ」などの印象を数値化できる装置。布の美しさを数字で評価できる先進繊維⼯学課程研究から広がる未来ユーザーフレンドリを満足させる技術は、繊維製品に限らず身の回りのあらゆる製品(車、インテリア、文房具など)で求められています。「心躍る製品を創ってユーザーを感動させたい」という夢を持っている人が社会で活躍できる学問です。ユーザフレンドリを満足させるものづくりの方法論を実現するためには、人間の心理、生理反応を計測し数値化して、消費者のニーズを正確に把握することから始めます。まさに「ヒトを測ってそのヒトを知る」のです。この技術を応用すれば、宇宙飛行士や消防士など危険な作業をともなうヒトの状態を知ったり、心地よい香りをかぐことでどのくらいリラックス効果が得られたかを知ることもできるのです。「ハッ」と目が覚めるような黒のスーツを身にまといゴージャスな大人の雰囲気を感じたい。お風呂上がりには「マシュマロ」みたいな肌触りのルームウェアに包まれていたい。金井研究室ではそんな消費者の素直な要求を満たす「幸せのためのもの創り」を実践しています。何本もの細い繊維を束ねて糸を創り、それを経緯に組み合わせて創られた布はテキスタイルと呼ばれ、フィルムや紙と比べてしなやかで強く、軽くて空気をたくさん含む魅力的な素材です。このテキスタイルを消費者の要求に合わせて効率よく創りあげる方法を研究しています。機能性DNA⼊り?健康であることは、全人類の望みです。近年、健康維持・増進、疾病予防・早期回復など、食品の果たす役割は極めて大きなものとなっています。下里研究室では、食と健康をキーワードに、食品による免疫調節機能について追求しています。とくに微生物のゲノムDNAが有する免疫機能について、解析を進めています。また、全く新しい機能を有する乳酸菌をデザインし、様々なアプローチから「スーパー乳酸菌」の創製を目指しています。将来的には、科学的根拠に基づく新たな機能性食品・飼料素材の創製を実現させたいと考えています。下里研究室では、21世紀予防医学の時代に先駆け、農学生命科学分野から、人類の健康維持・増進に寄与する基礎研究を進めています。具体的には、機能性オリゴDNAグループと乳酸菌粘膜ワクチングループに分かれて、学部生から大学院博士課程までの学生さんが、日々研究活動に没頭しています。今後は、機能性DNAと乳酸菌を絡めた新たな概念を打ち立て、信州発の“食べる”乳酸菌ワクチンの創製を目指します。大学院(修士課程・博士課程)への進学の他、就職先としては、主に食品メーカーや製薬メーカーに卒業生を輩出しています。また、研究室では「自主性の強化」に重点を置いています。研究課題の解決に向けて、方策を徹底的に考え、研究計画の企画・立案、実験による検証と成果発表(論文作成とプレゼンテーション)に至る一連のプロセスを重視し、指導しています。下里剛士准教授米国食品医薬局、米国国立ガン研究所・博士研究員、信州大学ファイバーナノテク国際若手研究者育成拠点・テニュアトラック助教を経て、2012年より現職。研究分野は、動物生命科学・分子生命工学・食品免疫学。“⾷べる”DNAアジュバントの開発と乳酸菌粘膜ワクチンの創製100nm経⼝⽤DNAナノカプセルの開発に成功“⾷べる”機能性DNAプロジェクト⾼機能性乳酸菌を…☆探す☆デザインする☆創る乳酸菌粘膜ワクチンプロジェクト免疫抑制型オリゴDNA2次構造モデル1% DNA50~200 nm99% Capsule組換え乳酸菌の開発ワクチン効果の検証疾病モデルマウス経⼝投与オリゴDNAは、感染症、ガン、アレルギー、炎症性疾患の予防・軽減など、幅広い作⽤が期待されてる機能性分⼦です。私たちは、オリゴDNAを100 nm程度のカルシウム性ナノ粒⼦に包摂した、「DNAナノカプセル」を開発しました。現在は、様々な疾病モデルマウスを⽤いてDNAナノカプセルの経⼝投与試験を実施し、作⽤効果の検証を進めています。これまで乳酸菌は、健康効果を担うものとして発酵⾷品の製造に積極的に利⽤されてきました。しかし近年、有⽤物質の⽣産体や運搬体としての役割、すなわち「乳酸菌粘膜ワクチン」の開発が期待されています。私たちは、⼈類の健康維持・増進という観点から、様々な乳酸菌組換え体を作出し、乳酸菌粘膜ワクチンの開発基盤の構築を進めています。「iSG3」下⾥研究室研究から広がる未来卒業後の未来像農学部⼤学院機能性⾷料開発学専攻くらしLife36

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