理工系学部研究紹介2016|信州大学
37/44

土本俊和教授東京大学卒業、同大学院修了、東京工芸大学助手、信州大学助手、助教授を経て2001年より現職。研究のフィールド卒業後の未来像善光寺と周辺街区について調査・研究を行うフィールド。現在、重要伝統的建造物群保存地区への登録を目指している山国である日本における山岳文化のひとつ。山岳にたてられた山小屋について調査・研究を行う⼟本研究室地域の歴史と⽂化をふまえた建物調査、伝統的建物の保存と再⽣くらしLife⼯学部建築学科卒業後の未来像⻄松研究室くらしLife先進繊維⼯学課程ゴルフウエアの動きやすさを測定している時の実験風景腕にマーカーを付けて3次元の動作解析動きの解析西松豊典教授三重県工業技術センターを経て、1993年より信州大学繊維学部助教授。2000年より現職。主な研究分野は、繊維製品評価、人間快適工学、スポーツウエア設計工学。企業との共同研究で数多くの商品を市販化。スポーツウエアの『着⼼地』を数値化動きやすくて着心地が良いスーツ(市販中)あらゆる動きに対応するゴルフウエア(市販中)繊維学部研究から広がる未来西松研究室では、様々な製品の『心地』の数値化に取り組んでいます。『心地』は、製品の種類やその使用環境によって“着心地”、“座り心地”、“歩き心地”などに細分化されます。このような『心地』を数値化するために、人間快適工学を用いて研究(“心地”の数値化、製品を使用しているときの動作解析、生理反応測定)を広範囲に行っています。研究室では、企業と共同で数多くの製品を開発して市販化。例えば、世界初の“しわになりにくいスーツ”、動きやすいゴルフウエア、座りやすい自動車シート、香る洗剤や柔軟剤など。製品の『快適性』である“心地”の数値化は、繊維製品以外にも様々な分野で注目されています。カーインテリア(自動車シート、ハンドルの操作性、メーターの見やすさ)、建築インテリア(玄関ドアの開け心地、床の歩き心地、内装の外観)、ハウスホールド製品(洗剤、柔軟剤)にも求められています。このように、人間快適工学による研究は我々の身の回りの製品への応用が大いに期待されています。研究室の卒業生は、スポーツウエア、アパレル、織物加工、自動車シート、カーインテリア、建築インテリアの会社に就職して新製品の研究開発を担当し、活躍しています。土本研究室では、主に長野県における伝統的建造物の建物調査や、建物調査をもとにして、建造物の保存・再生に取り組んでいます。建物は人間が文化的な生活を送る上で重要な要素です。同研究室では、調査の際に、建物単体のみをとらえて調査をおこなうのではなく、その建物がたつ地域の歴史や、人々の生活文化についても学ぶことで、地域の人々の考えにより身近にふれることができます。これら調査の結果は、定期的に開かれるワークショップなどで、地域社会に対して発信しています。また、文化的なたてものを後世にまで残していくことは、重要なことであり、土本研究室では、建物調査をふまえた上で、文化的な建物に対して保存や再生に関係した取り組みを行っています。保存の取り組みとしては、登録文化財や重要伝統的建造物群保存地区への登録があり、再生の取り組みとしては、利活用案や設計案の提案などがあります。長野県は、南北に広い県であり、また、山地であるために、それぞれの地域で固有の生活文化や人々のいとなみが見受けられます。そのため、土本研究室における、建物調査や研究をおこなうためのフィールドは多岐に渡ります。それぞれのフィールドで、その地域の歴史や文化をふまえ、実際に現地に住んでいる方々のお話もお聞きして、建物を調査、研究しています。土本研究室では、調査や研究をとおして、直接建築やそこに住む人の生活にふれ、建物の保存や再生方法について学ぶ機会が多いです。そのため、こうした研究室の活動をとおして得られた貴重な経験や知識を活かし、卒業後は、建物の設計や施工管理、文化財の保存や再生などの建築に関わる仕事に就く人が多くいます。35

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です