理工系学部研究紹介2016|信州大学
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化学・材料系市川研究室研究から広がる未来卒業後の未来像⼯学部素材Material物質⼯学科素材Material繊維学部市川結教授宇部興産株式会社高分子研究所研究員、信州大学繊維学部助手、准教授を経て、2013年より現職。有機半導体デバイスや有機光電子材料といった機能材料・デバイスや物理化学が研究分野。丸めて持ち運べるテレビ!?期待⾼まる有機ELこれが有機EL。導電性高分子である有機ELはLEDと違い、薄い膜のような形状で発光する点がポイントだ研究室で開発した有機半導体材料を溶剤に溶かし基板に塗り、トランジスタが完成。特性を生かした活用例を生み出す研究を行う着色した廃液から着色成分除去を目的として行った膜分離実験の装置図と実験結果。膜ろ過により着色廃液からほぼ透明な液体を回収中空状高分子膜の断面写真。膜の厚さや大きさを変化させた中空糸膜が作製できる清野研究室研究から広がる未来卒業後の未来像清野竜太郎准教授信州大学助手、助教授を経て、2007年より現職。専門は、高分子化学、高分子材料。特に、高分子膜の合成、高分子膜輸送現象の解析、高分子膜分離プロセス。必要なものだけをいかに分離するか“膜”の可能性を探る卒業後の進路としては、素材メーカーや化学メーカー、材料メーカーに就職する学生が多いのが特徴。もちろん電機メーカーへの就職もあります。また有機ELの開発は印刷会社でも行っているため、大手印刷会社へ就職した学生もいます。有機ELの研究において市川先生が消費電力削減と同時に取り組んでいるのが、原料の選定。現状ではレアメタルや貴金属といった希少元素を使用することが想定されていますが、もっと容易に入手できる、炭素のような元素を原料にすることをめざしています。またこの有機ELの研究に加えて、有機半導体や有機太陽電池等の研究も活発に行われ、豊かで持続可能な社会の実現に向けて期待されています。市川先生が行っているのは、次世代のディスプレイや照明としての利用に期待が高まる有機EL(有機LED)の研究開発です。非常に薄い上に自ら発光するなど、現在主流となっている液晶にはない多くの特性を持っています。海外の大手企業も注目し、市川研究室と協同しているこの技術。実現すれば、天井や壁全体を照明にすることや、テレビやパソコンのモニタを紙のようにクルクルと丸めて持ち運ぶ、なんてことも可能に!現在は消費電力量の削減が大きな課題ですが、SF映画にでも出てきそうな未来の生活が、有機ELによって始まろうとしています。清野研究室では、高分子材料の一つである高分子膜に関する研究を行っています。多様な高分子膜を作製し、それらを利用した様々な膜プロセスに取り組んでいます。例えば、有用な成分を含んだ混合液があったとすると、有用な成分だけを取り出すことができれば、その成分を再利用することができます。また、取りだした成分が、環境に悪影響を与える物質であれば、環境保全にもつながります。同研究室では、有機溶媒を含む廃液からの有機溶媒のみの回収や、排液中に含まれる有用成分の回収などの膜プロセスに関する研究を行っています。各種膜センサーの開発にも取り組んでいます。環境保全の重要性は言うまでもなく、資源の少ない日本においては、いかに資源を有効に活用するかが大きな課題です。膜分離プロセスは、これらの課題を解決できる手段の一つです。清野研究室で取り組んでいる様々な膜プロセスを複合的に組み合わせることにより、様々な物質を感知し、必要な物質を分離し、それを回収し、再利用システムの構築が可能となります。学部卒業生のうち、多くが修士課程に進学し、研究活動や勉学を継続しています。その後は、研究内容を生かして膜分離の事業を行う企業や高分子材料関係の企業に就職する学生が多数です。30

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