理工系学部研究紹介2016|信州大学
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化学・材料系本吉⾕研究室研究から広がる未来卒業後の未来像素材Material繊維学部本吉谷二郎教授信州大学繊維学部助手、准教授を経て現職。主な研究分野として有機化学を基礎とした光化学、特に化学発光に関する研究を行っている。化学発光の謎を解き役⽴つことを考えよう様々な蛍光剤により、多彩な色で光る化学発光。発光のしくみは非常に複雑だが、その神秘に迫ろうと研究を続けている有機合成にもとづく新しい蛍光剤の開発。合成した試料に紫外線をあててみるのは実験の大きな楽しみのひとつ卒業生のうち、多くが修士課程に進学して勉学、研究を続けています。さらに博士課程に進学して工学博士になった卒業生もこれまでに何人かおります。就職は化学系が多く、メーカーなどで研究開発や製造業に携わって活躍しています。化学発光は美しく不思議な現象ですが、この「化学反応で光る」ことを利用することにより、様々な化学物質や病気の診断に関わる物質の検出などにも応用可能です。すでに特殊な物質の存在を化学発光により知ることで病気の診断にも利用されています。私達の研究室では、そのしくみを十分に理解するための基礎研究とともに、基礎研究から得た知識をもとにして微量物質の検出や病気の予防などに化学発光を役立てたいと考えております。本吉谷(もとよしや)研究室では、有機光化学に関する基礎並びに応用に向けた研究を行っています。特に化学反応によって光る現象として知られる化学発光(ケミルミネッセンス)の有機化学的研究に最も力を入れており、この分野の発展のために発光メカニズムに関する理論的研究、また特殊な金属イオンや化学物質の定性・定量分析等を目指しつつ化学発光への機能付与に取り組んでいます。また、有害物質や細菌類を検出するための有機蛍光性化合物の合成開発も研究対象にしています。理学部理学科物理学コース素材Material天児研究室研究から広がる未来卒業後の未来像すべてのものが磁性体!磁性が絡む機能材料の基礎研究天児寧教授筑波大学大学院博士課程物理学研究科修了後、筑波大学準研究員、信州大学理学部助手、助教授を経て、2006年から現職。研究分野は磁性物理学。SQUID(超伝導量子干渉素子)を搭載した最新の高感度磁束計による測定は、新たに合成された材料の磁気的性質を調べるのに欠かせない磁石の素は電子の持っているスピン。だから世の中のすべての物は磁場となんらかの作用があります。磁性物理学分野では、高温炉を用いて試料を合成し、磁化測定や電気抵抗測定等の巨視的測定、核磁気共鳴(NMR)測定、メスバウアー効果測定等の微視的測定によりその磁性を多角的に調べ、強力磁石材料のポテンシャルを秘めた物質群をはじめ、磁場で制御する形状記憶材料、磁性体のエントロピーを利用した磁気冷凍材料など、「磁場」との作用による、環境にやさしい新たな機能材料の開発のための基礎研究に取り組んでいます。有効な磁石材料はモーターの効率改善に大きく貢献します。国内電力消費総量の約6割がベルトコンベアや空調に用いられるモーターによるもので、これらの効率をわずか1%向上できたとすると約65万kWhの電力削減になります。磁場制御の形状記憶材料は磁性駆動素子、高出力振動子や熱磁気エンジンなど従来にないアプリケーションが期待されます。磁気冷凍は、温暖化ガス等を用いない、高効率な環境にやさしい技術です。物理学は、先端技術の基礎となる現象を解き明かす学問で、コースでは何事もその原理から理解するという姿勢を身につけます。そうした力を生かして、機械系、電気系、情報系、鉄鋼系、金融関係など、様々な分野の企業で活躍しています。29

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