理工系学部研究紹介2016|信州大学
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⾼橋研究室研究から広がる未来卒業後の未来像環境Environmental渡邉研究室研究から広がる未来卒業後の未来像農業⽣産や⽣態系に影響を与える外来植物のモニタリング高橋伸英教授東京大学で博士号を取得後、信州大学繊維学部助教、准教授を経て、2014年より現職。専門は化学工学、環境工学。研究コンセプトは「CO₂+水+土+太陽+知恵+技術→幸せ」。繊維で温暖化防⽌!排ガスからCO₂を分離回収中空糸膜によるCO₂の吸収度合を比較検討するため、その過程を分析する。この吸収・放散装置は学生自身が設計し、実験を行っているサイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cmサイズW3.6cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦22.2cm膜の細孔の大きさや表面の形状がCO₂吸収に及ぼす影響を調べるバイオマス由来の新規吸着剤の開発・研究も行っているサイズW3.6cm×H4.35cm配置位置横14.9cm、縦22.2cm化学・材料系繊維学部地球温暖化防止のために欠かせないのが、CO₂の削減です。大気中に排出されるCO₂の半数近くは、火力発電所や大規模工場等からの排ガスによるもの。こうした中、高橋研究室では排ガスからCO₂のみを分離回収する新たな技術を研究しています。これは筒状の中空糸膜の内側にCO₂と反応する吸収液を流すことで、外側の排ガス中からCO₂のみを吸収するというもの。実はCO₂を貯蔵するまでの過程の中で、コストの大半を占めるのは分離回収の段階なのです。この技術が実現すれば、より低コストな分離回収が可能になると期待されています。化学プラントメーカーや水処理技術の会社への就職がある一方、授業や研究室で身に付けた化学工学の知識と技術、そして幅広い視野は様々な業種で活かすことができるため、就職先は多岐にわたっています。このCO₂分離回収技術以外にも、高橋研究室では乾燥地での植林や、木質バイオマスを固形燃料に変換する際の効率的な方法などを研究中。一見、全く違う研究を行っているように感じられますが、どれもが環境問題やエネルギー問題の解決に即効性があり、地球温暖化防止に貢献するためのもの。ヒトが生きていく限り生み出されるCO₂。それをいかに抑えるかは、あらゆる分野で考えなければならない課題です。渡邉修准教授草地試験場・岐阜大・農研機構研究員を経て2005年4月より信州大学農学部。外来植物、雑草の分布・生態調査をベースにした植生管理技術に関わる研究を行っている。山岳域の植生管理に関する研究にも従事している。雑草学研究室では、外来植物の地理的・空間分布の解明に関わる研究に取り組んでいます。グローバル化が進み海外との人的・物質的移動が頻繁になると生物の移動も国家を超えて生じます。外来植物はすでに数多くの種類が国内に定着し、雑草化して農業や生態系に被害を出しています。また、国立公園など自然度の高い環境でも雑草侵入が問題となっています。雑草学研究室では雑草の分布状態を簡易に把握する方法を確立し、発生のモニタリングと蔓延防止技術につながる研究に取り組んでいます。身の回りにどのような植物があるのか、我々はほとんど意識しないまま普段過ごしています。外国から来た植物は、日本人に馴染みがないため、多くの場合、嫌われ者となっていますが、その生態や分布を理解していません。一度侵入した外来生物は、多くのコストや人手をかけても根絶することはできません。根絶できないのであれば、共存するしかありませんが、農業生産や生態系に被害が出ないうちに、早めに見つけ出して、対策することが必要です。雑草学研究室では、外来植物のモニタリング調査を通じて問題となる植物を早期に発見する研究を、UAVなど最新機器を使いながら行い、汎用性のある観測技術を作りたいと考えています。(圃場観測用UAV(小型無人ヘリ)を利用した雑草観測)(GPSカメラを利用した雑草発生マップの作成と利用講習会)フィールドにおける雑草調査を通じて、農業生産の現場で問題になってる生産阻害要因について整理し、生産効率を下げずに持続的な農業を行う技術を身につけます。国や県、自治体と連携し、雑草問題解決に向けた取組を行うことができる人材を育成します。農学部環境Environmental農学⽣命科学科植物資源科学コース26

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