理工系学部研究紹介2016|信州大学
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電気電⼦⼯学科⼯学部エネルギーEnergy化学・材料系研究から広がる未来卒業後の未来像杉本研究室エネルギーEnergy繊維学部杉本渉教授〔経歴〕1999年早稲田大学大学院理工学研究科博士課程修了後信州大学繊維学部助手、准教授を経て、2013年より現職。〔専門〕電気化学、材料化学、触媒化学。〔受賞〕電気化学会進歩賞、国際電気化学会デノラ賞他〔趣味〕かつては庭球。現在は暴飲暴食。3秒で携帯電話を充電!?「スーパーキャパシタ」究極のナノ材料ともいえる酸化物ナノシートの原子間力顕微鏡像。一枚のナノシートの厚みは1ナノ㍍に満たない。このナノ材料を使って一瞬で電気を貯める「超」急速充電可能なスーパーキャパシタを開発しています。3秒で携帯電話が充電できるのも夢じゃない?上)実験室風景。下)毎朝8:30からの朝英語ゼミの様子燃料電池に使用される白金ナノ触媒。燃料電池はCO2を排出せず、水素エネルギー社会を可能にするキーテクノロジーの1つですサイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cm50 nmPtナノ触媒2 nm炭素微粒子50 nm毛髪の1/1000の炭素が電子を集めるカーボンナノチューブの直径程度しかない白金粒子の表面で電気化学反応が起こるヒトの心臓磁界計測風景の一例。研究室で製作可能な安価かつ超高感度なインダクション磁気センサの可能性を研究写真サイズ高さ4.35cm×幅7.5cm配置位置横11.4cm、縦8.15cm⽥代研究室研究から広がる未来卒業後の未来像一辺2mの3軸一様磁界発生コイル。生活空間の低周波磁界の模擬だけでなく、地磁気の低減による宇宙磁界空間の模擬等に使用田代晋久准教授九州大学大学院総合理工学研究院助手、信州大学工学部助教を経て2012年より現職。研究分野は磁気応用工学で、主に微弱磁界計測技術とその応用に関する研究。⽣活空間の低周波磁界をエネルギーに!微弱磁界計測技術とその応⽤小さなモノで大きなエネルギー~ナノ材料で環境・エネルギー問題に挑む~このキャッチフレーズを合言葉に、日々教育研究に励んでいます。例えば私たちがつくる燃料電池の心臓部ともいえるナノ触媒は、数ナノ㍍(1ナノ㍍は10億分の1㍍)しかありません。つくった電気は、瞬時にスーパーキャパシタに貯めます。スーパーキャパシタはナノ材料の表面を利用した新しい蓄電技術であり、秒単位での蓄電が可能になります。小さいからこそ良いことだってあるんです。資源に乏しい我が国の美しい自然環境を守りたい。環境負荷が少ない電気化学反応を利用することで、クリーンなエネルギーを生み出し、蓄積できます。私たちはこの反応を担う新しいナノ材料やその合成法、利用法を開拓しています。研究室では、基礎から応用まで深くかつ広く展開することで、学生は「生きる力」「グローバルマインド」を身に着け、+αの力をもった人財として社会に貢献しています。キーワードは、環境、エネルギー、水(水素)です。合成からデバイスまで、基礎化学から応用物理化学までカバーしているからこそ、卒業生は自動車、電機、材料、電子、化学系等幅広いフィールドで研究者、エンジニアとして活躍しています。田代研究室では、磁気に関するエネルギー・センサ・シールド技術の研究が行われています。磁気は目に見えないですが、ヒトも生体活動に伴い極めて微弱な生体磁気を発生しています。テーマの一つとしてヒトの心臓から自然に発生する心磁界計測を目指した安価な磁気シールド・磁気センサの研究です。この研究において計測したくないノイズ、電気機器や電力線の周囲に存在する低周波磁界があります。逆転の発想から、この磁界をエネルギーに変える環境磁界発電という技術も世界に先駆けて提案されています。田代研究室では、主に低周波磁界に関する研究成果で社会貢献を目指しています。例えば環境磁界発電では、電池を用いずにワイヤレスセンサネットワークの構成が行えます。私たちの生活空間に存在する低周波磁界は、昼夜・天候を問わず回収が可能です。こうしたエネルギーを電気エネルギーとして再利用することで、省エネ・防災のためのシステムや非接触給電等への応用が期待できます。家電メーカーや自動車関連メーカーだけでなく、計測機器、医療機器、ゼネコン等へも卒業生を送り出しています。磁気応用技術は様々な分野で利用されているため、就職の自由度も高いそうです。22

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