理工系学部研究紹介2016|信州大学
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岡野哲郎教授九州大学農学部附属演習林(本部、北海道演習林)を経て2004年1月より信州大学農学部。広葉樹天然林の長期動態や、攪乱後の森林再生プロセスの解明と技術構築に関心がある。木質エネルギー利用にも関わっている。『⾃然の恵み』を持続的に享受する〜森林⽣態系と⼈間の営みの科学〜強風で倒された樹木の周囲は明るくなり、そこでは後継樹が発生し成長すると言われるが・・・?長期にわたるモニタリングで解明する木曽の天然ヒノキ林を再生させるための技術開発。密生するササをどう制御するか-ヒノキ実生の発生を促すための重要な技術であるササで覆われ、ヒノキはごくわずかササを制御し、ヒノキ林が再生した岡野研究室研究から広がる未来卒業後の未来像農学⽣命科学科森林・環境共⽣学コース農学部⾃然・⽣命Nature理学部⾼梨研究室理学科⽣物学コース研究から広がる未来卒業後の未来像植物の不思議:微⽣物共⽣と代謝産物と高梨功次郎助教京都大学農学研究科応用生命科学専攻博士課程修了。2015年より現職。研究分野は植物―微生物共生系、および植物二次代謝産物。サンプリングを行う日本の山岳地帯。実験室内外で研究を行うことにより多角的な視点を獲得できる。サンプリングしたマメ科植物(左)とその根粒(右上)、根粒から単離した根粒菌(右下)。これらのゲノムを取り出して解析する。過去に起きた、植物の生育域の変化に伴う共生生物の行動を調べることで、未来の気候変化に対する共生系の行動を予測することが出来ます。また、自身が生産する毒に対する自己解毒機構は、医薬品生産の植物工場に応用できるかもしれません。当研究室では基礎的な研究が主ですが、その先にある私たちの生活を考えながら研究を進めています。研究を通して培われる論理的思考力や問題発見・解決力、観察力は、あらゆる分野の職業において必要不可欠です。当研究室での経験を活かして、様々な分野で活躍してほしいと思います。⾃然・⽣命Nature植物の持つ様々な不思議について研究しています。薬草や毒草はなぜ自身が生産する生理活性物質にやられないのか、また、数十万年、数百万年の時間スケールで植物が生育域を変えるとき、その植物と共生している生物はどのように行動するのか、などを調べています。植物は動物と異なり発芽した場所から動けません。そのため動物にはない様々な機構を発展させてきました。それらの機構を研究し、植物のもつ不思議のベールを一枚ずつ解明していきたいと考えています。造林学研究室では、森林の持つ諸機能を適切に発揮させ、生態系サービス(=自然の恵み)を享受することを目的に、樹木の挙動や森林の動態を、立地条件との関係から長期的に調べています。森林生態系は巨大なバイオマス、複雑な空間構造、多様な生物の相互作用によって特徴付けられる生態系です。その振る舞いを科学的な観点から観測し、地球温暖化の影響や、間伐等の施業の影響を抽出することで、森林生態系のグローバルな役割を長期にわたって維持させ、より良い人間社会の構築に寄与させることを目指しています。本研究室は森林生態学の立場から、変動する地球環境のなかで、森林と人間との関わり方を考えるための研究を行っています。森林生態系を理解する研究や、森林生態系を制御する技術開発を通じて、循環型社会の創出に寄与できます。ターゲットとしている中山間地域は小さな自治体ですが、それは科学的な研究成果を政策に反映させ易いアクティビティの高いフィールドともなっています。森林生態系をモニタリングする能力、樹木の種を同定する能力、樹木の生き方を理解する能力が身に付きます。これらの科学的能力は、公務員や環境コンサルタントの分野において森林計画の策定と実行に活用されます。19

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