理工系学部研究紹介2016|信州大学
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理学部境研究室⾃然・⽣命Nature数学科数理科学コース研究から広がる未来卒業後の未来像埋め込みの諸相–⾼次元の図形を『⾒る』には『結び目』の例。多様な絡まり方は、三次元空間の性質を反映している。(図は“knotatlas”より)サイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cm『射影平面』という図形を三次元空間に実現した図で、『Boy曲面』と呼ばれる。射影平面の性質により『自己交差』が生じる。このようなものは『はめ込み』という(図は“SketchesofTopology”より)サイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦7.8cm境圭一助教東京大学大学院数理科学研究科博士課程修了。学術振興会特別研究員などを経て、2011年より現職。専門はトポロジー。境研究室では『幾何学』を研究しており、テーマは『多様体』と呼ばれる図形の『埋め込み』です。埋め込みのもっとも代表的な例は『結び目』です(右上図参照)。このように、図形を(高い次元の)空間内に実現するのが『埋め込み』です。輪が様々な絡まり方をする理由は、我々の住んでいる三次元空間の性質にあります。幾何学で研究される図形の多くは、輪より複雑でわかりにくいのですが、例えば三次元空間のようにわかりやすい図形に埋め込むことで、その図形が『見える』ようになり、様々な性質がわかるようになります。4次元、5次元、…といった高次元の『図形』は、決して夢物語でなく、素粒子論の世界などでは実態を伴って研究されているものです。我々の目には見えない高次元の世界を『見る』手段の一つとして『埋め込み』は有効です。さらに、個々の埋め込みは互いに関連しており、その関連を利用することで、全く新しい図形を生み出すこともできます。こうして幾何学の世界がどんどん広がっていきます。社会を支える科学技術、その基礎の一つが数学です。筋道を立てて考える能力を生かして、システムエンジニアなどとして活躍している人もいれば、中学・高校の教員となっている人もいます。理学部村越研究室地表環境の成り⽴ちを理解する。村越直美准教授日本学術振興会特別研究員(DC)、信州大学理学部助手、講師を経て、2010年から現職。専門分野は堆積学。フィールド調査と水路実験を駆使して環境形成の謎に挑んでいる。フィールド調査。女鳥羽川にみられる地形の変化がどのように生まれたのか、現地で調査しながら議論し、自然環境に対する理解を深める。サイズW7。5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cm水路を使った堆積実験。川や海でみられる地形や堆積構造がどのようにできるのか、実験的に発達プロセスを解明する。サイズW7。5cm×H4。35cm配置位置横11cm、縦7。8cmサイズW3cm×H2.65cm配置位置横0.5cm、縦7.42cm⾃然・⽣命Nature理学科物質循環学コース研究から広がる未来卒業後の未来像地球環境中の『物質循環』のなかで、環境の土台を形成している「地形」や「堆積物」の発達プロセスや、生物との相互作用について研究しています。地球環境はどのように作られ、どのように変化していくのだろうか?自然界には美しいものがたくさんあります。とくに堆積物が記録している縞模様。地層の縞々、流れや波の縞模様、生き物の消長が示すリズム、気候変動がもつリズムなど、堆積物が記録している縞模様を研究して環境形成の本質に迫ります。私たちは日本の厳しい自然に囲まれて、その自然とうまく付き合いながら生きてきました。しかし、近年ではその付き合い方を忘れがちになってきているようです。そのためにさまざまな自然災害や環境問題に直面しています。自然の成り立ちをより広くより深く理解していれば、私たちはそこからより良い地球との付き合い方を見つけられるはず。まずはすぐそばにあるフィールドから目を向けてみましょう。4年生では卒業研究として、フィールドに出て問題を発見し、それに取り組んで研究論文としてまとめます。身につけた能力や地球科学の知識は、自然に富んだ日本列島で生活していく上で生かされます。そのため環境コンサルタントや資源関係の仕事に就く学生がいる一方で、教員や学芸員などの教育研究・普及活動に向かう学生もいます。17

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