理工系学部研究紹介2016|信州大学
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応⽤⽣物科学系繊維学部⾃然・⽣命Nature⽥⼝研究室研究から広がる未来卒業後の未来像田口悟朗准教授信州大学繊維学部や信州大学遺伝子実験施設で助手を務めた後、2008年より現職。研究分野は、植物の有用物質生産に関わる酵素反応や遺伝子解析、その有効活用を図るといった応用生物化学。植物のチカラを解明し私たちの暮らしを豊かに桑の葉には、血糖値を下げるのに有効な成分が含まれている。その成分ができる仕組みについて解析をすすめているサイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cmサイズW3.6cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦22.2cm抗酸化物質を含む身近なワサビの葉からDNAを抽出抽出した植物の遺伝子の塩基配列をパソコンで解析するサイズW3.6cm×H4.35cm配置位置横14.9cm、縦22.2cm田口研究室では、植物の持つさまざまな機能について研究しています。例えば、植物は作った物質にグルコースなどの糖をつけて細胞の中に貯め、必要なときに糖を外して使う性質があります。この機能を薬などに役立つよう、物質の加工に応用できないかと考えています。水に溶けにくい物質に植物の持つ酵素を使って糖をつけ、水に溶けやすくしたり安定性を高めたりすることが可能になるのです。その他、私たちの健康に役立つ植物成分がどのように作られているのかを調べています。植物の機能を科学的に追究することで、私たちの快適な毎日につながっていきます。植物は周囲とのコミュニケーションのためにさまざまな物質を作り出しますが、それが、人にとっては薬となったり、いい香りだったりと、体に良い効能がいろいろあります。現在研究室で研究を進めている、植物が身を守るため有害な物質を無毒化する機能は、逆に環境浄化などにも使うことができます。こういった植物が持つチカラを研究し解明することで、私たちの生活に応用できることがたくさんあるのです。人や環境に有益な研究は幅広くニーズがあり、主に食品関連への就職が多い田口研究室。その他にも分析関連の業務を行う会社や、薬品関連、農業関連への就職も少なくありません。高校の先生として活躍している卒業生もいます。理学部東城研究室⾃然・⽣命Nature理学科⽣物学コース研究から広がる未来卒業後の未来像現代を⽣きる⽣物種群から紐解く『進化史』と『⽣物多様性』創出のメカニズム東城幸治准教授筑波大学生物科学系、科学技術庁および日本学術振興会の科学技術特別研究員(生物資源研究所)を経て、2004年に信州大学理学部助手、2012年より准教授。専門は、系統進化・系統発生学、および分子系統地理学。国内外の雄大な自然に入り込んでのフィールドワークから実験室内での緻密な遺伝子解析まで、「マクロ・ミクロ生物学」を共に実践毎週開催の研究室セミナーは大学院生・卒論生が主体的に運営。数時間にも及ぶ議論も日常的。熱論の末に新規発見される成果も多い系統進化学的に重要な位置づけにある生物種群(鍵分類群)を対象に、その系統進化や系統発生のプロセスを追究しています。生物界最大の種数を誇る昆虫類を中心に、多様な生物種群に注目しています。対象は現代を生きる生物種群ですが、その形態や発生プロセスには過去の進化史が刻み込まれていますし、もちろんDNAにも過去の歴史がしっかりと刻み込まれています。これらの情報を注意深く丁寧に読み解きながら、現在から過去数億年前にまで溯る様々な時間スケールでの進化史を紐解くような、ワクワク感に満ちた研究です。系統進化の鍵を握る生物種群を対象に、系統進化・系統発生学的研究をしています。進化史の追究は過去を紐解くものですが、過去を知らずして未来を切り拓くことはできません。過去の進化史や生物多様性が創出される機構を科学的にきちんと理解することはとても大切なことです。私たち人類が生物界において、また、生態系内においてどのような存在であるのか、これらの論考を通して「自然の理」を理解することは、将来にわたって人類が幸福に暮らしてゆくための大きな礎となるはずです。研究活動を通して研ぎすまされる理学的(論理的)思考力は、どのような世界においても基盤となり得る強靭なものです。研究を発展させながら研究者の道へ進む卒業生、中学・高校の教員や博物館の学芸員として科学の魅力を伝える卒業生、企業や行政で活躍する卒業生たちがいます。16

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