理工系学部研究紹介2016|信州大学
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⾼島研究室研究から広がる未来卒業後の未来像応⽤⽣物科学系高島誠司テニュアトラック助教東京工業大学大学院で博士号(工学)を取得後、東京大学医科学研究所研究員、京都大学医学部助教を経て現職。学生時代より一貫して再生医療研究に従事。幹細胞の性質の理解と制御を目的としている。精⼦の幹細胞を⾃在に操り再⽣医療に貢献する精子幹細胞の能力。(左)試験管内で増殖するマウス精子幹細胞。(中)緑色蛍光タンパクを発現する精子幹細胞を移植した精巣。緑色蛍光を発する精子ができている。(右)精子幹細胞由来の精子でできた仔マウス。子供も緑色蛍光を発する(矢印)精子幹細胞の潜在的多能性。この能力は普段抑制されているが、その抑制機序が破綻すると多能性精子幹細胞に変化する。(左)精子幹細胞から変化した多能性精子幹細胞。iPS細胞と同様の多能性を持つ。(右)多能性精子幹細胞からなる『キメラマウス』。緑色蛍光を発する部分は多能性精子幹細胞に由来する繊維学部諏訪湖での湖上観測風景役割を手分けし、流速や水質などを観測している長野市内における地形からみた水害危険区域(黄色・赤色部分)今昔の地形図を判読して、地形特性から水害危険区域を抽出する豊⽥研究室⼟⽊⼯学科豊田政史助教京都大学大学院修士課程、運輸省港湾技術研究所研究官、信州大学工学部助手を経て、2007年より現職。研究分野は、湖沼・河川における「水の動き」。⽔環境問題や⽔害を『⽔の動き』の観点から考える研究から広がる未来卒業後の未来像世界各地でさまざまな水環境問題や水害が起きています。豊田研究室では、主に長野県内の湖沼・河川を中心として、これらへの対策を「水の動き」の観点から考えています。具体的には、現地観測・コンピューターシミュレーション・地形図の判読などを通して、「水の動き」を計測・予測することにより、諏訪湖における水環境問題解決や長野市内における水害対策策定のための基礎的な現象の解明を行っています。その他、水害に対する住民意識アンケートや環境・防災の両面を考えた今後の川のあり方の検討など行政に近い内容の研究も行っています。人は自然の中に住まわせてもらっています。自然現象を少しずつ解明していき、それらの結果をふまえて自然とどうつきあっていくかを考えることは、土木工学の醍醐味の一つです。自分たちの研究・調査結果に加えて、他の研究者(例えば、生物・地質など)や行政などが出した結果をあわせて総合的にとらえ、よりよい自然とのつきあい方を考えていくことがこれからの時代では必要になってきます。国・県・市などで土木事業全般に幅広く携わる「公務員」が最も多く、次いで計画・調査・設計業務を主に行う「建設コンサルタント」、その他ではIT関連企業に就職した学生もいます。⼯学部⾃然・⽣命Nature⾃然・⽣命Nature再生医療関連産業は、2020年には市場規模が1兆円(経産省試算)を超えるといわれています。当研究室での幹細胞研究の経験を生かし、大学・研究機関に限らずこうした成長産業でも活躍してほしいと思います。精子幹細胞は精子の産生に特化した組織幹細胞でありながら、多能性幹細胞のポテンシャルも併せ持つ不思議な細胞です。従って、男性不妊の治療だけでなく、多能性幹細胞への若返りを通じてiPS細胞と同様に種々の疾患への再生医療にも応用が期待されます。また、精子幹細胞技術を畜産分野へ展開することで、優良な肉質を有するウシ・ブタを効率よく生産する技術に繋がります。このように、精子幹細胞は幅広い分野に貢献する事ができる『万能』細胞だといえます。再生医療はこれまで治療が不可能であった傷害・疾患を克服する可能性を秘めており、幹細胞はその主役を担います。iPS細胞等の多能性幹細胞や、各器官に存在する組織幹細胞を用いた再生医療研究が世界中で展開されています。当研究室では、精巣の組織幹細胞『精子幹細胞』に着目し研究を進めます。この細胞は精子形成に特化しているにもかかわらず、稀にiPS細胞のような多能性幹細胞に自発的に変化します。この細胞のユニークな性質を理解し、自在に操る手法を開発することで、再生医療へ貢献する事が当研究室の目的です。15

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