理工系学部研究紹介2016|信州大学
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⽟⽥研究室応⽤⽣物科学系研究から広がる未来卒業後の未来像シルクの医療分野への活⽤を⽬指して⾃然・⽣命Nature繊維学部遺伝子組換えに使うDNAを抽出している実験(左)と無菌的なクリーンベンチ内で微生物を単離する大学院生(右)写真サイズ高さ4.35cm×幅7.5cm配置位置横11.4cm、縦8.15cm遺伝子組換えによってキノコのセルラーゼを生産するコウジ菌写真サイズ高さ4.35cm×幅3.6cm配置位置横15.3cm、縦2.85cm蛍光タンパク質によって可視化した植物細胞壁中のセルロース物質⼯学科野崎研究室野﨑功一准教授北海道大学で博士(農学)を取得後、信州大学助手を経て、2005年より現職。青森育ちで自然と田舎をこよなく愛する。専門分野は、生物化学、遺伝子工学。微生物酵素の基礎と応用研究を行う。微⽣物に学ぶバイオマスの分解と利⽤!〜遺伝⼦組換え技術による酵素の⽣産と改良〜野﨑研究室では、自然界に生息する微生物から有用な酵素を見つけ出し、バイオマスの分解と利用に活用する研究を行っています。バイオマスは再生可能な資源であり、主に微生物の酵素によって分解されています。この分解システムは、生物が長い進化の過程で獲得してきた効率的なものです。人類がこれををうまく利用するためには、必要な酵素を取り出し、大量生産し、さらには活性や機能、安定性を上げることによって、目的の化学反応に適したものに改良する必要があります。我々とともに微生物がもつ未知の機能を探索し、バイオマス利用の可能性を追求してみませんか。微生物の種類は無限大、しかもそのほとんどは未知の生物です。この中には人類にとって有用な酵素を生産しているものもいるかもしれません。野﨑研究室では、微生物のバイオマス分解酵素の生産性を上げたり、遺伝子組換え技術によって酵素を改良する研究を行っています。酵素は温和な条件で、ある決まった反応だけを正確に進行させます。バイオマスと酵素は、環境調和型の化学プロセスを実現する上でますます重要な役割を果たすようになるでしょう。酵素の利用分野は、化学、医薬、食品、農業、繊維や環境など多岐にわたっています。また、同研究室で習得できる実験技術は、化学系や生物系などの企業で活用できます。より高度で専門的な研究を行うため、修士課程や博士課程の大学院に進学する学生もいます。⼯学部⾃然・⽣命Nature研究から広がる未来卒業後の未来像シルクは、繊維の女王として6000年以上前から利用されている優れた衣料用材料です。また、カイコという生物が生産する環境に優しい生物資源材料でもあります。シルクの衣料分野を超えた新しい利用技術の開発を中心に研究を進めています。絹糸は外科手術で傷を縫うときの糸として古くから現在も臨床で使用されています。また、最近の研究では、シルクから作った材料が、再生医療で細胞の足場として、良い性質を示すことが多く報告されています。研究室では、シルクの医療分野への活用を目標に、シルクの構造や性質を新たな観点で解析し、さらに、化学修飾、タンパク質工学、遺伝子組換え技術による機能性シルクの創出を目指しています。2012年のノーベル賞を受賞された山中先生のiPSにより、再生医療の実現が近づきました。しかし、細胞のみでは十分な再生治療が期待できない場合もあります。組織を再生する細胞を支える材料の開発も重要な課題です。シルクが、その材料の一つとして治療に貢献でき、われわれの研究が多くの患者さんの幸せにつながることを期待しています。シルクは医療分野のみならず、広い産業分野でも活用できる可能性があります。それらを一緒に見つけませんか?工学・農学・医学という学際的、多彩な業種の業際的な分野の研究となりますので、卒業後は、多様な視点から課題を解決できる人材となって活躍してもらいたいと思います。玉田靖教授京都大学大学院卒業後、日本合成ゴム(現JSR)株式会社で研究員として勤務した後、蚕糸・昆虫農業技術研究所(現農業生物資源研究所)で、シルク利用研究に従事、2013年より現職。専門は、バイオマテリアル。カイコ(家蚕)(左)と繭(右)。カイコは、純度の高いシルクタンパク質を環境低負荷で効率良く生産するタンパク質製造工場ですシルクタンパク質(フィブロイン)100%から出来たスポンジ材料。現在、軟骨再生用、脊髄損傷神経再生用、難治性創傷保護治療用材料としての研究が進行中です13

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