理工系学部研究紹介2016|信州大学
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安江研究室⼭岳科学研究所研究から広がる未来卒業後の未来像気候変動と森林・樹⽊成⻑の関係を探る農学部⾃然・⽣命Nature安江恒准教授科学技術特別研究員(森林総合研究所)を経て2000年4月より信州大学農学部。木材組織学、年輪年代学的手法を応用して、樹木の肥大成長を制限する要因の解明に迫りたい。森林環境学研究室の取り組み森林環境学研究室では、今後生じるであろう気候変動に伴う影響を評価するため、以下の課題に取り組んでいます。1)肥大成長メカニズムの解明:成長期を通じた観測を通して、木材成長量や材質に影響を及ぼす要因(植物季節、環境、遺伝的要因)を明らかにします。2)環境が肥大成長に及ぼす影響評価:年輪情報を用いて、気候応答解析や将来の樹木の成長予測を行います。3)過去の環境変動の復元:年輪情報を用いた1年単位の気候復元や人間社会の適応を明らかにします。国内各地の山岳域をはじめ、ロシア、カナダ、アラスカ、モンゴルなどの周極域でも調査研究を行っています。研究室に閉じこもっていては見えてこない事象を間近に観察することで、気候変動に対する各地の森林の応答の個性と普遍性を明らかにしていきたいと考えています。フィールド調査からラボでの計測・解析に至る広い視野と共に、自ら立案し試行錯誤を重ねながら研究を進める力が身につきます。また、木材の形成から利用に至る知識を身につきます。卒業後は森林に関わる公務員や木材・住宅業界等で活躍出来る人材になります。カナダでの森林調査髄樹皮180017701780179010 mm温暖化したら樹木成長はどうなるの?理学部⼭⽥研究室「タイムマシン」よりすごい、⼩さな化⽯山田桂准教授日本学術振興会特別研究員、信州大学助教、同大講師を経て、2011年から現職。研究分野は古生物学、古環境復元。地層から取り出した貝形虫殻の写真。殻はこのようなスライドに種類ごとに分けて並べる。マス目の一辺は3.5mmなので大きさが分かるサイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cm天気がいい日の野外調査は最高に気分がいい。大きな崖では地層の縞模様が綺麗に見える。写真の中央左寄りに小さな人がいるサイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦7.8cmサイズW3cm×H2.65cm配置位置横0.5cm、縦7.42cm⾃然・⽣命Nature理学科地球学コース研究から広がる未来卒業後の未来像映画や漫画の世界に登場するタイムマシンは、まだ実在しません。でも、それがなくても私たちはすでに過去を知る方法を見つけています。タイムマシンの代わりになるすごいもの、それが「化石」です。地層の中に含まれている小さな化石を調べると、人間がまだ地球上にいなかった遥か昔の地球の様子まで知ることができます。私が、今注目しているテーマは、日本の気候に大きな影響を与えるモンスーン変動です。そのために、小さな化石を使って、縄文時代以降の人々が過ごした日本の気温や降水量などを調べています。私の研究室では、ごく最近の地球を対象にしている学生もいれば、約1000万年前の地球の様子を調べている学生もいます。また、この研究のために、野外を調査したり、生物の群集変化を調べたり、化石の化学分析を行ったりと、手法も様々です。このように、多様な時代・手法を扱う学生たちがそれぞれの目標を持って日々研究を行っています。時代は様々ですが、過去の地球を理解し、その環境変化のメカニズムを明らかにすることは、地球が将来どのように変化していくのか、を考えることにもつながります。地質学の知識は、多分野で必要とされています。そのため、建設業界や環境コンサルタント、資源開発の仕事に就く学生が多いようです。また、博物館学芸員、公務員、教員や新聞記者などになって、地質学の普及に務める学生もいます。12

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