環境報告書2015|信州大学
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特集アクア・イノベーション拠点世界の豊かな生活環境と地球規模の持続可能性に貢献する 栗原氏は、海水淡水化に使われる東レの逆浸透(RO)膜の開発者で、内閣府が2010年から推進してきた「最先端研究開発支援プログラム(FIRST)」で、30人の中心研究者の一人に選ばれました。 栗原氏は、RO膜をめぐる約50年におよぶ研究開発の歴史や、自らが中心研究者を務めていたFIRSTプロジェクト「Mega-ton Water System-環境配慮型巨大淡水化技術の実用化システム」の成果などを紹介。「東レのモットーでもある、極限状態を追及する「深は新」と「実践先行と温故知新」を大事にするべきだ」と述べました。 田中氏は、大垣氏が研究総括を務める科学技術振興機構・CRESTの「持続可能な水利用を実現する革新的な技術とシステム」領域で、初年度から研究代表者の一人を務め、さまざまな都市における下水再生を目的とするプロジェクト「21世紀型都市水循環系の構築のための水再生技術の開発と評価」を進めてきました。 田中氏は講演の中で、プロジェクトの中で実証した沖縄県糸満市における、下水の再生水を農業用水として利用する試みを紹介。 「都市の再生水利用は、適切な地域、適切な循環規模、適切な再生水方法の選択が重要です」と述べました。 アクア・イノベーション拠点の上田プロジェクトリーダーは、“使える水”を得るターゲットとする三つの水、海水、随伴水、かん水についての社会実装の姿をそれぞれ紹介。さらに、造水コストの目標を、システム全体で達成する設計の考え方についても説明しました。 そのうえで、信州大や物質・材料研究機構などで開発中のカーボン膜に期待するロバスト性(高耐久性、耐熱性、耐薬品性、すべり特性、低ファウリング機能)に触れ、「カーボン膜の研究開発はこれから佳境に入るが、しっかりと成果を出せるよう努力していきたい」と抱負を語りました。▼最先端研究開発支援プログラム(FIRST)http://www.jst.go.jp/rst/about-us/kurihara-masaru.html▼FIRSTプロジェクト「Mega-ton Water System-環境・エネルギー配慮型巨大淡水化技術の実用化システム」http://www.megatonwater.com/▼CRESTプロジェクト「21世紀型都市水循環系の構築のための水再生技術の開発と評価」http://www.wcs21st.jp/■ 「カーボン膜の研究開発はこれから佳境へ」■「都市の再生水利用は、規模で方法の選択を」■「深は新、実践先行と温故知新」東レ株式会社フェロー栗原 優氏京都大学大学院工学研究科附属流域圏総合環境質研究センター教授田中 宏明氏アクア・イノベーション拠点プロジェクトリーダー(PL)上田 新次郎8

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