環境報告書2015|信州大学
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 プロジェクトの基盤となるのが、信州大学が得意とするナノカーボンの研究開発成果を、脱塩、物質分離が可能で、ロバスト性のある水分離膜の開発に役立てることです。これが安いコストで実現すれば、①海水の淡水化が広く一般的になるだけでなく、②油や粒子、重金属の吸着除去などの一次処理と組み合わせることで、石油などの資源採取に伴い発生する随伴水の処理、さらに、③湖沼などにある塩分を含むかん水の淡水化と有価物の回収、が可能となります。 海水の脱塩化は石油由来の原料を使った逆浸透(RO)膜によってすでに実用化され、アジア、中東地域などで飲料水用などに使われています。しかし、水の用途のおよそ7割を占める農業用水への利用を促進するためには、さらなる低コスト化が必要とされています。カーボンなどの新素材を使ったイノベーションにより、省エネルギーで高性能な造水システムが実現すれば、発展途上国にも普及していくと考えられます。 そのためには、開発された新素材をモジュール化してテストプラントに組み込み、システム上の問題点を改良していかなければなりません。本拠点には、大学、研究機関、企業、自治体などから人材が結集し、オールジャパン体制の強固な産学官連携により、革新的な造水・水循環システムの実用化に取り組んでいきます。▼アクア・イノベーション拠点(COI) http://www.shinshu-u.ac.jp/coi/▼信州大学国際科学イノベーションセンター http://www.shinshu-u.ac.jp/centerforinnovation/6

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