環境報告書2015|信州大学
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修士論文卒業論文修士論文卒業論文農学研究科 食料生産科学専攻 原田 裕太教育学部 学校教育教員養成課程 生活科学教育専攻 橋渡 憲明 オブアルブミンによるニワトリ 眼鼻部位免疫機構の惹起 現在、アジアを中心に高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)が広がっている。その流行は1996年中国広東省におけるガチョウでの発生に遡ることができる。また2002年末に香港の2つの公園で水禽類を含む留鳥や渡り鳥からHPAIウイルスが分離され、翌年2003年2月に中国福建省への旅行歴のある家族の感染事例からHPAIウイルスがその後も潜在している可能性を示唆した。2004年9月までに、日本での79年ぶりの発生を含め、タイ、ベトナム、カンボジア、ラオス、インドネシア、中国及びマレーシアでの発生が確認された。ベトナム、インドネシア、エジプトにおいてHPAIウイルスは常在化しており、それらの近隣諸国においても常在化が懸念されている。 その3カ国に中国を加えた4カ国では防疫対策としてワクチンを使用しており、その使用量は全世界の95%を占めている。現在承認されている鶏用ワクチンは、多種多様な生及び不活化ワクチンが製造販売されている。先述した国で用いられているワクチンの多くは症状の発現を抑えられるが、完全な感染防御ではないことが従来から知られている不活化ワクチンである。現在、鳥インフルエンザワクチン開発に関わる免疫学的な知見は哺乳類、特にマウスにおける結果を用いられているが、哺乳類と鳥類の免疫系では同じ機序で制御されているとは言い難い。 私は、通常鶏及び免疫刺激物質であるオブアルブミンを用いて免疫刺激を行ったニワトリの眼鼻部位(ハーダー腺、鼻腔、副鼻腔及び鼻涙管(図を参照))におけるIgA、IgG、IgM等の免疫グロブリンの動態について、蛍光免疫染色法を用いて形態学的解析を、Real-Time PCRを用いて遺伝子学的解析を経時的に行った。その結果、通常鶏では週齢の違いによって免疫グロブリン陽性細胞の局在に変化が見られた。また、免疫刺激を行ったニワトリにおいて免疫グロブリンの遺伝子発現レベルで変化が見られた。今後は、不活化ウイルスで刺激したニワトリで同様の手法を用いて経時的な解析を行い、比較・検討を行っていきたい。 鳥類特異的な免疫機能の解明及び鳥類における基礎的な免疫学的・構造学的知見を積み重ねることはHPAIウイルスの常在化を食い止めるため、また養鶏の生産環境及び衛生環境を改善するうえで必要不可欠であり、より効果の高いワクチンの開発にも繋がる。 中学校技術科におけるタービン コンテスト用電力測定教材の開発 本研究は、中学校技術科における風力発電のタービンコンテスト用電力測定教材の開発を目的とした。 教材の開発では、PICマイコンを使用し、3ch同時に電流・電圧を測定できるハードウエアを用いて、3ch同時に電圧・電力を表示でき、測定値を表示・記録できるソフトウエアおよびタービン製作用の用紙を開発した。発電モータ用に固定しやすくする形状を工夫して回路切り替えスイッチを付加したアダプタも開発すると共に、発電特性の基礎データを得た。 開発した教材の実践・検証として、N県N中学校2年生31名に対して、2時間の実践を行った。生徒らは、風力発電について学んだ上で、厚紙を用いてタービンを設計・製作し、開発教材を用いて発電電力を計測した。そして、計測結果を基にタービンの改良を重ね、発電効率向上に取り組んだ。事後調査による検証の結果、一定の教育的効果が確認できた。〔図〕ニワトリの眼鼻部位でんまねWindの構成環境への取組み022-1 環境教育31

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