環境報告書2015|信州大学
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特 集  私は信州大学農学部を卒業後、農学部のある上伊那郡の地元農協、JA上伊那に入組しました。現在まで営農部の花き広域担当として花の生産指導・販売に携わっています。 上伊那の花について少しご紹介すると、施設品目のアルストロメリア、トルコギキョウ、露地品目である鉄砲ゆり、菊、枝ものなど、15億円もの生産額があります。その中で栽培技術の向上を目指し技術指導を行い、生産振興を図り、そして販売先を確保し生産者手取りを増やせるよう取組みを行っています。 良い花を作ること、それには花をよく観察し、手をかけて育てることが大切です。でもそれ以上に大きいのが、環境のもたらす影響です。私たちの住む信州上伊那は、日照量が豊富で、夏でも昼夜の温度差が大きいために、花の発色が鮮やかで栽培に非常に適した場所です。この地で育てた高品質な花を全国各地の市場を通じてお花屋さんに届けており、高評価やリピートをいただいています。このような恵まれた環境下で産業としての花づくりが盛んに行われていますが、業界人ではない一般の方々や地元の方の理解はまだまだ乏しいのが現状です。 そこで2007年から「花育活動」に取り組んでいます。花育とは、花を通じて命の大切さや心の豊かさを育むことを目的にした教育活動です。具体的には子供にお花をプレゼントして、花の管理の仕方や生け方を教え、実践し、小さいころから花のある生活に親しんでもらっています。子供が家庭に花を持ち帰ることで、家族の中に「花」をキーワードに会話が生まれたり、生き物を大切にする気持ちがめばえたり、ちょっと良いことがいっぱいあります。 2014年からは伊那市と連携して地元でも花育事業に取り組んでいます。生産者と共に、花の栽培や使いみち、役割や流通のことなど、花にまつわる話を小学校に出向いて子供達に教えています。生きた話や生きた教材から学び、この恵まれた環境に暮らしていることに気づき、誇りに思い、まっすぐに大きくなってもらえればいいなと感じています。本年からは宮田村でも始まった花育活動、上伊那全域に普及する勢いで取り組みを深めていきます。 農業を永続させるためには、多くの人の理解が必要です。そのためには生産者側からの情報発信も必要で、花育のような取組みの重要性を感じています。理解が得られサポーターが増えれば、この地に根付く農業をみんなで支え、美しい伊那谷の環境づくりに取り組むことができると信じています。 私は伊那が大好きです。第二のふるさと「伊那谷」のこの美しい風景が農業と共にずっと続くことを願いながら、これからも取り組んでいきます。花育への取組み環境と生きる人づくり(OB・OGの環境活動)上伊那農業協同組合 営農部指導販売課  永山治美さん永山治美・ながやま はるみ1986年 千葉県市原市生まれ2009年 信州大学農学部食料生産科学科卒業2009年 上伊那農業協同組合入組コギク講習会花育授業花束加工15

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