工学部研究紹介2016|信州大学
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ナノカーボンの構造モデル(左)と当研究室で主に研究している二層カーボンナノチューブの高分解能電子顕微鏡写真(右)構造制御したナノカーボンを用いた強靭性を有する海水淡水化用高性能メンブランの構造モデル研究支援部門研究⽀援⽵内研究室研究から広がる未来当研究室では、21世紀素材とも目されるカーボンナノチューブに代表されるナノカーボン(ナノメータのレベルで精緻に微視的構造や組織・形態が制御、設計され、それによって従来には無い高度な性能が付与され、革新的な機能を発現する炭素体)について研究しています。それらナノカーボンの精緻な生成・構造制御により、高機能複合材、超軽量電線、高性能エネルギー貯蔵デバイス(リチウムイオン電池や電気二重層キャパシタ)、次世代燃料電池および高性能水分離膜、等に応用しています。身近にある炭素は古くて新しい魅力的な素材として今注目されています。ナノカーボンは、原子・分子レベルで精緻に構造制御することで、様々な分野に応用できます。携帯電話、ノートパソコンや電気自動車に用いられているリチウムイオン電池は、高性能であるが容量不足です。しかし、近い将来に新規ナノカーボンにより現在の10倍以上の高容量化も視野に入っています。さらに現在、世界中で水不足が大きな問題となっています。現在主流の高分子による逆浸透膜は高性能であるものの、耐薬品性や耐久性が低く実用化が進んでいません。そこで、ナノカーボンを用いて世界を救う革新的な造水機能を有する強靭な水分離膜を実現すべく積極的に取り組んでおります。竹内健司准教授信州大学大学院工学系研究科博士課程を修了後、企業技術者を経て2010年より現職。研究分野はナノカーボンの創成と応用21世紀の⾰新的素材であるナノカーボンを⽤いて世界の環境問題に挑むサイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cm金属系の多層膜において強磁性/非磁性金属界面での磁気抵抗効果を測定するために試作した微細素子。本技術をベースに接合界面におけるイオン伝導現象を解析していく。現在試作を検討している全固体薄膜のリチウムイオン2次電池の模式的な断面構造。研究支援部門研究⽀援⽥中研究室研究から広がる未来当研究室では、異種の無機材料が接合する界面や、乱れた欠陥のある無機材料結晶におけるイオン伝導現象を解析し、エネルギーデバイス等に応用できる革新的材料のデザインを目指して研究・開発を行っております。イオン伝導は、通常格子欠陥が存在する系で起こる現象であり、この意味で結晶の乱れが非常に重要な役割を担います。また、エネルギーデバイスにおいては異種材料の接合が不可避であり、界面での伝導の良否がデバイス全体の特性を左右します。当研究室では、手嶋勝弥研究室と協力して、乱れた結晶や接合界面のイオンの輸送現象の研究開発を進めています。これから訪れるスマート社会においては、安全・安心で、高い蓄積エネルギー密度を有し、急速充電が可能な使い勝手の良いエネルギーデバイスが不可欠です。そのためには、現在広く使われているリチウムイオン2次電池等の革新的な性能向上が求められます。特に安全性に優れる全固体イオン電池を実現するためには、結晶中そして界面におけるイオン伝導現象をできるだけ正確に捉え、その知見に基づいた材料や界面の設計、改良、組み合わせの選択などがキーとなります。この研究の先には、再生エネルギーなどを自由に使いこなす持続可能なスマート社会が広がっています。田中厚志教授1981年東京大学物理工学科にて修士課程終了後,科学技術庁を経て富士通研究所(85年). 2002年東北大学で博士(工学). 2013年より現職. 研究分野はナノ構造材料およびその物性評価解析. 乱れた結晶や接合界⾯におけるイオン伝導現象を解析し、⾰新的エネルギー材料をデザインする70

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