工学部研究紹介2016|信州大学
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卒業後の未来像研究から広がる未来藤井研究室藤井雅留太助教博士(工学)名古屋大学2012年4月-2013年9月秋田県立大学助教2013年10月-現在信州大学助教専門:計算力学、計算科学、最適設計研究で使用する計算機と無停電装置光の⾼度解析とトポロジー最適化最適設計により得られた光学クロークとその周辺の電磁場環境機能⼯学科藤井研究室では大型計算機によるコンピュータ計算を駆使し,光の大規模解析および光デバイスの最適設計に取り組んでいます。光散乱を数値的に解析することで,複雑な構造内での光の挙動を明らかにし,さらにその解析結果からデバイスの性能を最大化する構造を設計することができます。その結果,これまで明らかではなかった光に関する様々な現象の発現メカニズムが明らかになり,従来では実現することの困難であった性能を有するデバイスを創成することが可能となります。その1例が透明マント効果を実現する光学クロークと呼ばれる光デバイスです。光学クロークは物体による光散乱を抑制するよう,光の流れを制御することで,物体を不可視にすることができるデバイスです。我々の研究室ではトポロジー最適設計により光学クロークを設計することにより,物体よる光散乱はほぼ0となり,高性能な光学クロークを設計することに成功しました。解析においては鳥・蝶などのの羽に見られる生物学的なフォトニック結晶による発色「構造色」と,不規則構造内での光局在を利用した「ランダムレーザー」の光学特性の解析に関して研究を進めています。構造色の研究では発色に必要な構造因子の特定と,得られたスペクトルからディスプレイ上での構造色の再現を目指します。また,ランダムレーザーの研究においては発振のメカニズムの解明と省エネルギーレーザーに必要な構造を明らかにします。また,トポロジー最適化においては光学クロークをはじめ,無反射構造,ウィスパリングギャラリーモード共振器レーザー,スーパーレンズなどの最適設計法の開発と、それら光デバイスの高性能化(広周波数帯域化,広角入射への対応,3次元構の設計),および設計された構造を3Dプリンタを用いた実際のものづくりを目標としています。インフラ・メーカーをはじめとした様々な分野へ就職しています。数値解析・設計のできるエンジニアは稀少なので,今後も需要はのびて行くと予想されます。環境機能⼯学科研究から広がる未来卒業後の未来像水溶液を利用した成膜装置(左)と作製した酸化亜鉛透明導電膜(右)。膜構造はロッドから膜まで簡単に制御でき、肉眼でも変化がわかる研究室での風景。テーマに関わらず、学生間でも積極的に議論・相談をしながら研究を進めている我⽥研究室水溶液プロセスでは、高温や高真空などの特殊な環境を必要としません。そのため、不純物として水酸基や有機物を取り込みやすいという欠点があります。一方、さまざまな複合材料を作製できるという可能を意味しています。この特徴を生かして、透明導電膜などの電子材料や光触媒・吸着材料などの環境浄化材料など、多岐に渡る機能性材料を作製し、地球環境にやさしいものづくりプロセスを確立します!我田研究室では手嶋研究室とともに、次世代エネルギー・環境材料創成に取り組んでいます。特に我田研究室では、水溶液プロセスによる無機材料創成に力を入れています。水溶液プロセスとは、金属塩の水溶液から100℃以下の低温で無機材料を作るとても単純な手法です。実はこのような化学反応は、地球上の生物にとっては普通のことです。人間が作ることのできない複雑な形状の無機物質を作る生物も存在します。自然界のものづくりを学び・応用することで物質の形状や特性を制御したり、無機-有機複合材料を作るなど、さまざまな材料創成に挑戦しています。我田研究室では、環境・水をキーワードに最先端材料創成と環境調和プロセスを学びます。これらのキーワードは、現代のものづくりとは切り離すことができません。そのため、さまざまな分野に挑戦できる学生を育てています。我田元助教2011年3月東京工業大学総合理工学研究科物質電子化学専攻を卒業。その後、学振特別研究員PDとしてコンスタンツ大学(ドイツ)で勤務。2012年4月より現職。地球環境にやさしい「⽔」を活⽤した最先端ものづくりへの挑戦66

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