工学部研究紹介2016|信州大学
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環境機能⼯学科研究から広がる未来卒業後の未来像キャビティを過ぎる流れの振動コントール。左はコントロールしない流れ。右はコントロールして振動が低減した流れスリットから流体が吹出す二次元乱流噴流の渦度(流体の回転角速度)の等値面。この流れの中で物質がどう拡散するかも調べている吉⽥研究室吉田研究室は、流体の流れと物質やエネルギーの移動現象についてスーパーコンピューター(スパコン)を用いて数値シミュレーションする研究を行っています。身の回りにある空気(気体)や水(液体)など流動する物質を流体といいます。流体の流れは身近な工業製品から地球環境まで広く関係しています。流体の運動や流れによって拡散する物質やエネルギーをコンピューターで計算することで、複雑な現象を解明し、さらに流れや拡散をコントロールすることを目指しています。例えば、キャビティを過ぎる流れの振動をコントロールする新しい方法を開発しています。流体の運動は運動方程式を解けば分かります。しかしその運動方程式は非線形であるため、解析的に解くことはできません。そこで1秒間に10兆回以上の膨大な計算が高速でできるスパコンで数値的に解く数値シミュレーションが有効なのです。スパコンがより速く進化することによって、目に見えない空気や水のより複雑な流れを解明することができるようになります。数値シミュレーションの技術は、様々な工業製品の開発に広がっています。卒業生は機械メーカーエンジニア、プラントエンジニア、ソフトウェアエンジニア、システムエンジニアなど様々な分野で活躍しています。吉田尚史准教授名古屋大学工学部助手、信州大学工学部助手、講師を経て2003年より現職。研究分野は流体工学。特に、数値シミュレーションによって流体を研究する数値流体力学を専門とする。スーパーコンピューターで計算する流れのメカニズムとコントロール環境機能⼯学科研究から広がる未来卒業後の未来像(上図)一、二、三次元ナノ構造をもつ無機イオン交換体の結晶構造(下図)フラックス育成したK2TiSi3O9、Na2Ti3O7、LiMn2O4結晶の走査型電子顕微鏡写真。高品質な無機結晶が得られるため、材料のもつ性能が最大限に発揮される(左図)顕微ラマン分光測定装置(右図)ホール効果・比抵抗測定装置最先端の分析機器を用いて無機結晶の構造や物理特性を評価できます林研究室フラックス法や水熱・安熱・超臨界溶液法などの無機結晶育成技術を駆使して、ナノシートからバルク結晶まで多様な機能性無機結晶を育成しています。電気化学・生物無機化学・計算科学の専門家と議論しながら、マテリアル・アクアイノベーションを実現する機能性無機結晶の研究に日夜奮闘しております。最先端の分析機器を利用して研究に取り組むことができます。林研究室では手嶋・是津・我田研究室とともに、アクアイノベーションを実現する機能性無機結晶の研究に取り組んでいます。具体的には、海水やかん水から選択的にリチウムなどの希少有用資源を回収する無機イオン交換体や放射性元素などの汚染物質を選択的に除去する吸着材を研究しています。他にも、量子コンピューター素子として機能する無機結晶も探索しています。材料科学を基盤とし、ナノ構造をデザインすることで無機結晶の機能を引き出します。また,国内外の研究者と積極的に連携し、実現困難な課題の解決や新しい学問分野の開拓にも挑戦しています。林研究室では、イオン交換体・吸着をキーワードに機能性無機結晶育成法や資源回収・環境浄化技術を学ぶことができます。卒業後は環境・エネルギー関連分野を中心に、幅広い分野で研究者・技術者として活躍することが期待できます。林文隆助教東京工業大学で博士(工学)を取得後、2009年東京工業大学特任助教を経て、2015年より現職。研究分野はコロイド界面科学・材料科学・触媒科学。アクアイノベーションを先導する⾼機能無機結晶〜超薄膜から単結晶まで〜65

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