工学部研究紹介2016|信州大学
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環境機能⼯学科研究から広がる未来卒業後の未来像合成したルビー結晶。それぞれの形はその表面張力で説明できるルビーの表面においた水滴。その接触角からルビー結晶の表面張力を算出できる写真サイズ高さ4.35cm×幅7.5cm配置位置横11.4cm、縦8.15cm鈴⽊研究室鈴木研究室では、ルビー、水晶などの結晶の表面張力を測定しています。液体の表面張力はよく知られていますが、実は結晶のような固体にも表面張力があります。液体は分子が自由に動くので液体の表面積が小さくなろうとするので表面張力の存在が実感しやすいのですが、結晶の様な固体では表面の分子が動くことなく、表面張力が存在することが実感しにくいと思います。結晶表面に水滴を滴下すると水滴の表面張力と結晶の表面張力が釣り合います。水滴表面と結晶表面との間の接触角を測定することで、結晶の表面張力を算出できます。鈴木研究室では、結晶の表面張力と結晶の形状を比較することで結晶が形成されるときのメカニズムを考察しています。基本的には熱力学的な基礎研究です。応用研究ではないので何らかの製品などにつながるものではありません。基礎的な研究を通して有能な人材を育成します。応用面に直結する研究をしていないからといって役に立つ人間になれないという心配は無用です。基礎を深く学習していれば、どの分野にいっても役に立つ研究ができるはずです。鈴木孝臣准教授東京大学理学部卒、千葉大学助教授を経て2001年より現職。研究分野は固体表面の熱力学。結晶の表⾯張⼒の実測と結晶表⾯の熱⼒学環境機能⼯学科研究から広がる未来卒業後の未来像全固体電池のイラスト:セルを直接積層することでパッケージサイズを小型化できる。現状のリチウムイオン二次電池の7倍以上のエネルギー密度が向上が見込まれる。(a)電池材料の原子模型図(b)電気炉(c)反応解析のための高温X線回折装置(d)熱間プレス装置(e)コイン電池組立。最先端の分析機器を用いて電池材料の合成・構造解析・物性解析ができます。是津研究室電気自動車をはじめとする次世代モビリティやスマートハウス、スマートグリットなどの次世代スマート技術が普及することで、人とモノ、人と人、最終的にはモノとモノまでが各種媒体を通して無限につながった社会「電動生活」が到来すると言われています。蓄電池技術の革新を通して,これから生まれる新しい社会インフラの構築とそれに伴う次世代生活者のくらしの価値を高めることに貢献できると信じています。是津研究室では、手嶋研究室と共同してリチウムイオン二次電池のエネルギー密度を遥かに超える全固体(結晶)電池の開発に取り組んでいます。リチウムイオンが移動する電解液を固体(結晶)電解質に置き換えることで、電池のパッケージサイズを小型化することができます。一方、固体-固体界面の低抵抗化の課題は山積しており、電動自動車に搭載可能な全固体電池の実現には至っていません。様々な合成技術、構造解析技術、物性解析技術を柔軟に駆使し、固体内のイオン拡散経路を可視化、任意にデザインすることで、全固体電池開発の方向性を提示し・具現化します。是津研究室では、様々な無機材料合成技術、構造解析技術、物性解析技術の柔軟な活用を基軸とし、デバイスシステム全体を俯瞰した総合的学理の構築を目指しています。卒業後は、応用と基礎の視点がバランスよく配合された幅広い視野を備えた研究者・技術者としての活躍が期待できます。是津信行准教授東京工業大学で博士(工学)を取得後、2006年大阪大学助教、2011年名古屋大学准教授を経て、2013年より現職。研究分野は材料科学・コロイド科学・電気化学。⾰新的エネルギー貯蔵デバイスを⾒据えた超空間制御結晶材料開発63

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