工学部研究紹介2016|信州大学
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環境機能⼯学科研究から広がる未来卒業後の未来像浅速流で発電する下掛けタイプの衝動水車。水車は橋からぶらさげた2本の支柱で支えている。得られた電気は水路脇の民家で利用湧水で発電する滝水車(左)と、温泉水によるジェット水流で発電するジェット水車(右)。それぞれ電気柵と衛星電話の電源に利用飯尾研究室純国産最大の再生可能エネルギーである『水力』。水力発電と言えば山奥にダムを建設する大規模発電所の印象がありますが、これからの水力発電は小規模分散型。それを実現するのが、飯尾研究室で行っている自然環境にやさしい『Eco(エコ)水車』です。身近な水路の『流れに置くだけ』で発電し、水力の地産地消が可能です。総延長40万kmにもなる日本の農業用水路を流れる水力エネルギーの活用を目指しています。全発電方式の中でライフサイクルCO2排出量が最も少ない小規模水力発電は、地球温暖化防止の観点からも注目を集めています。Eco水車開発では、室内基礎実験から実際の水路でのフィールドテスト、実用化まで広範囲に実施しています。水路の形態によって異なる水流状況にあわせて数種類の水車を開発しています。高性能かつ低コストの水車発電機の実現を目指し、人工河川での性能評価実験やコンピュータシミュレーションによる水車形状の最適化などを行っています。学生たちにとって、自ら手掛けた水車が実用化される喜びは大きいようです。これまでの卒業生は、水力発電機器、自動車、プラント、ポンプ、空気圧機器、空調設備、工作機械等の機械関連業界に就職し、設計や商品企画、研究開発などの『ものづくり』担当のエンジニアとして国内外で幅広く活躍しています。飯尾昭一郎准教授宮崎大学博士後期課程修了後、信州大学工学部助手、同助教を経て、2011年より現職。主な研究分野として、流体力学を基礎とした環境にやさしい小型水力発電、流れの省エネルギー制御・可視化に取り組んでいる。『Eco⽔⾞』〜流れに置くだけの⽔⼒発電研究から広がる未来卒業後の未来像環境機能⼯学科研究室で行われている研究の一部。核酸、タンパク質、構造、神経科学、微生物などを取り扱い、時には頭を抱える合成生物学の概念、我々人類は太陽神となれるのか。我々は分子生物学という最先端技術の羽を得て飛び出すが・・・⽚岡研究室片岡研究室では生命現象を理解した上で、生命システムを再構築することを目標に研究を行っています。例えばバイオテクノロジー展開の主役の細菌が、どのように遺伝的多様性を獲得し、環境変化に対応してきたかといった進化に関する基礎研究は、合成生物学と呼ばれる生命の再設計に展開されます。神経系のメカニズムの研究では、ヒトはなぜ思考するのかといった、哲学上の問題を科学的に解いたり、精神の恒常性メカニズムの研究は、様々な精神疾患や神経症の問題解決の糸口になることが期待できます。我々の研究をどんどん展開していくと、将来的に人為的に設計された微生物が生物工学分野の生産効率を大きく変えたり、石油流出事故などの際に環境浄化に大活躍したり、光合成の効率を飛躍的に上げたり、パンデミックに備えてワクチンの生産効率を飛躍的に上昇させ、ウイルスを征圧するなどの未来が来るかもしれません。また、脳科学をどんどん展開していくと、医療分野の他、ヒトがなぜヒトなのかといった哲学上の疑問解決に繋がるかもしれません。片岡研卒業生の活躍場所は、発酵工業をはじめとした食品産業、医療機器メーカー、化学メーカーなど多岐にわたります。生命科学の最先端研究で醸される徹底的に物事を行う哲学や、一流の研究者たちとの一期一会は皆さんの今後の人生にとっての宝となるでしょう。片岡正和准教授大阪大学工学部卒、大阪大学大学院修了、三菱化成生命研、国立小児病院小児医療研究センター、三菱化学生命研を経て現職。実績研究分野は合成生物学、応用微生物学、神経科学、ナノバイオなど多岐にわたる。⽣命が成り⽴つしくみを知り、⽣命システムを創造する62

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