工学部研究紹介2016|信州大学
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研究から広がる未来卒業後の未来像環境機能⼯学科次世代電気自動車への搭載をめざす全結晶型リチウムイオン二次電池(LIB)。コイン型LIB(左)とLIB用結晶の構造(右上)と写真(右下)海外の国際学会(フランス,イタリア,韓国など)および国内最大の大学見本市で発表する凛々しい未来の研究者たち(研究室学生)⼿嶋研究室『未来の車へ、夢の結晶電池を研究中』われわれが住む地球から学ぶことはとてもたくさんあります。手嶋研究室では、大石研究室・我田研究室とともに“地球・自然に学び、地球・自然を守る”をキーワードに、次世代のエネルギー・環境材料の創成をめざしています。特に、自然界で結晶(宝石や鉱物など)が成長するメカニズムをお手本にしたフラックス法(溶液の過飽和度の制御により結晶を育成)を基盤に、物質表面の組成や形状を自在に操っています。新しい材料の創出、新機能の付与あるいは性能の飛躍的向上を実現できる結晶薄膜作製技術を日々研究・教育しています。結晶とは、原子や分子が規則正しく並んだ物質で、物質そのものの性能を最大限に発揮します。その結晶を地球はたやすく作ります。同研究室では、次世代エネルギー(蓄電池・太陽電池・燃料電池)、ソーラー水素製造(太陽光で水を分解)、環境有害物質の無害化など様々な分野で活躍する“ウルトラマン”のような地球を守る優れた結晶材料をこつこつと作っています。日々の努力の積み重ねが、自身の未来を切り拓きます。同研究室からは、エコマテリアル&エコテクノロジーマインドをもった学生が巣立っていきます。そのため、卒業生は化学・材料系をはじめ、自動車、エネルギーや電機など幅広い分野で研究者・技術者として活躍しています。手嶋勝弥教授名古屋大学で博士(工学)を取得後、2005年信州大学助手を経て、2011年より現職。研究分野は無機化学、表面科学。夢七訓を胸に刻み、日々研究・教育に励む。元々、丸坊主で白球を追い続けた野球少年。努⼒の結晶!次世代エネルギー・環境材料を切り拓く結晶薄膜〜フラックスの挑戦〜金属を溶かさないでリサイクルするコールドリサイクル(特許4505632)省エネルギーと温室効果ガス排出量大幅削減を可能にする写真サイズ高さ4.35cm×幅7.5cm配置位置横11.4cm、縦2.85cmヒノキから製造された透明性圧縮木材(特許4359681)写真サイズ高さ4.35cm×幅7.5cm配置位置横11.4cm、縦8.15cm環境機能⼯学科北澤研究室研究から広がる未来卒業後の未来像北澤研究室では、製品ライフサイクル(製造・使用・リサイクル)中に生じる環境問題(資源枯渇・地球温暖化・人の健康被害等)を改善する新しいエコテクノロジーの開発に取り組んでいます。①大量生産・大量消費・大量廃棄からの脱却を可能にし、必要な物を必要な量だけ迅速に製造するインクリメンタルフォーミング、②プラスチックなどの石油資源依存からの脱却を可能にし、安全な植物を原料とする機能性新素材、③金属リサイクルの環境問題(エネルギー消費・温室効果ガス排出・品位低下)を解決する新しい金属リサイクル(コールドリサイクル)を研究しています。金属を溶かさないでリサイクルでき、しかも、このリサイクルされた金属板は素板と同等以上の加工性があることも明らかになってきました。「究極の省エネリサイクル」という夢の可能性が見えてきました。透明性圧縮木材は、実験中に偶然発見された透明性材料です。安全で持続可能な資源から製造できるエコ透明性材料であるため、様々な製品への用途展開が期待されています。金属・セラミックス・高分子・植物等を用いた製品製造やリサイクルについてのエコテクノロジーの実験的研究を行った卒業生の皆さんは、電気電子機器・自動車・精密機器・エクステリア・金属などのメーカーで技術者として活躍しています。北澤君義教授東京工業大学大学院修了後、長岡技術科学大学助手、信州大学助手、助教授を経て2004年より現職。研究分野は環境材料、リサイクル、塑性加工。文部科学大臣賞(日本工学教育協会)受賞。究極の⾦属リサイクル「コールドリサイクル」植物から透明なエコ新素材「透明性圧縮⽊材」60

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