工学部研究紹介2016|信州大学
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研究から広がる未来卒業後の未来像情報⼯学科UnifiedModelingLanguageと呼ばれる言語を使って記述したモデルからソフトウェアを自動生成するツールを研究開発している自動的に生成するモデルソフトウェア⼩形研究室小形研究室では、良いソフトウェアを効率的に作る方法を研究しています。建築では、お客さんが欲しない部分を見逃して建物を作ると、手直しに膨大な時間と費用が掛かりかねません。そのため、建物を作る前にお客さんがその良し悪しを確認できるように、建築業者が模型等で建物の「概略」を作ります。同様に、ソフトウェア開発でも「概略」を「モデル」として記述することが普及してきましたが、モデルの有益な活用方法の研究は未だ不十分です。当研究室は、「使い勝手の良い」ソフトウェアの開発を促進するためにモデルの作成方法や支援ツールの研究を行っています。『モデリング』では、お客さんの要求を分析した結果に基づき、ソフトウェアを使ってできることを定義します。そこから機能の正しさや使いやすさを十分に理解・判断できれば、早めに適切な変更を行うことが可能となります。これは、具体的かつ詳細なプログラムを作ってしまってから発覚した問題を修正することに比べて、時間や費用を大幅に削減することが期待されます。『モデリング』には、物事の要点を的確に捉え、説明する能力が必須です。そして、この能力は企業が求めるコミュニケーション能力の本質と言えます。同研究を通して、その能力を高めた有能な人材の輩出を目指しています。小形真平助教芝浦工業大学大学院工学研究科修了。博士(工学)。2012年より現職。オブジェクト指向開発技術、モデル駆動開発技術および要求工学手法に関する研究に従事。次世代のソフトウェア開発⼿法の研究:「プログラミング」から「モデリング」へ情報⼯学科國宗研究室研究から広がる未来卒業後の未来像Webページとして作成された電子教科書に、直接書き込みを行い、他の学習者と議論を行うことを実現した“WritableWeb”システム専門科目であるプログラミングを学習する前に、プログラミング言語を使わずアルゴリズム的思考を学ぶための支援システムみなさんはなぜ学校で勉強していますか?そして、どのように勉強していますか?これらの質問に対する明確な答えはありますか?大学では高校までとは少し違い、専門的な知識を習得するだけでなく、「どのように学ぶか」そして「身につけた学び方を他の学びにどう生かす(転用する)か」ということも考える必要があります。國宗研究室では、大学における学習と教育を支援するためのシステム開発を主な研究テーマにしています。これらのシステムは、専門知識の習得・学び方の学び・学び方の転用を様々な形で支援しています。学習や教育は「効率」だけで語ることができない分野ですが、國宗研究室で開発しているシステムは、学習や教育の一部をコンピューターやネットワークの強力なパワーで肩代わりしています。今後、技術の進歩とともに肩代わりできる部分は増えていきますが、学ぶのも教えるのも人間です。「学ぶ」「教える」の本質的な部分は人間が担いつつ、他の部分はコンピュータが肩代わりして、より質の高い「学び」や「教え」が実現できるようになります。國宗研究室の卒業生は、大手SIer(システムインテグレーター)やメーカーをはじめとした多様な企業で活躍しています。研究内容に直接関係する職業だけではなく、研究を通じて習得した考え方や問題の解決力を、様々な場面で発揮できる人材を育成する研究室です。國宗永佳助教1996年石川工業高等専門学校電子情報工学科卒業、1998年信州大学工学部卒業、2003年同大学大学院工学系研究科博士後期課程修了。博士(工学)。信州大学特別研究員、同助手を経て、2007年より現職。専門は教育工学。よりよい「学び」と「教え」を⽀援するシステムを創る57

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