工学部研究紹介2016|信州大学
55/80

⼩林研究室情報⼯学科研究から広がる未来卒業後の未来像機能に気づかせるリモコンエージェント(左)と農園観測装置(右)写真サイズ高さ4.35cm×幅7.5cm配置位置横11.4cm、縦2.85cm農業情報公開サイト「農ライブ」8.15cm小林研究室では、インタラクションデザインに関する研究と情報通信技術(ICT)を用いた農業に関する研究に取り組んでいます。インタラクションデザインとは人間とロボットやソフトウェアとの間でやりとりされる情報とその処理過程をデザインすることです。一方的にロボットやソフトウェアなどに仕事を任せるのではなく、人間とのやり取りを通して、人間が得意なことと機械が得意なことを考慮して、協調的な問題解決を目指します。また、その応用として農業に情報通信技術を導入することで、データに基づく科学的で効率的な農園管理方法についても研究しています。私達の身の回りは便利な工業製品であふれています。しかし、そういった機械は本当に便利でしょうか?人間には非常にうまく周囲に適応する能力があります。慣れてしまっただけで、実は不便な部分がたくさんあるのではないでしょうか。人間の気持を悟り、気の利く機械があったらと想像してみてください。当研究室ではそんな未来を少しずつ拓く研究を行っています。自分から率先して問題を見つけ、持っている知識と技術で主体的に問題解決に取り組むことは非常に大切です。しかし、知識や技術を持っていなくても、想像力を発揮して、より難しい問題に挑むことはもっと大切です。そのような、挑戦し続けられる人物になることを期待しています。小林一樹准教授総合研究大学院大学修了後、関西学院大学博士研究員を経て、2013 年より現職。研究分野はヒューマンロボットインタラクション、ヒューマンージェントインタラクション、ICT農業など。インタラクションデザインとスマートアグリガジェット図2集積回路設計の様子。アプリケーションに応じて、仕様を決め、回路図を作成し、それに対応した数十nm精度の配線レイアウトをCADソフト上で描き、半導体チップを設計、試作する。図1測定ボードと集積回路チップ。設計した集積回路試作チップに対して、仕様通り動くかどうかの検証を、測定により確認する情報⼯学科上⼝研究室研究から広がる未来卒業後の未来像エレクトロニクス、情報技術の進歩は、インターネット、携帯電話など、新しい産業・サービスを創出しております。特に、集積回路の微細化は様々な機能を低コストで実現し、コモディティ化により、医療、農業といった様々な分野に応用されるようになってきました。しかしながら、今、日本のエレクトロニクス業界はコスト競争の点で大変苦しい状況にあります。このような状況を打開し、商品を差別化するためには、集積回路を自らカスタマイズ(設計)し、使いこなす必要があります。研究室では、集積回路設計技術を用いて、新しい計算機アーキテクチャを開発し、ソフトウェア、アプリケーションと協調した新たなシステム・サービスの構築を目指します。世の中の様々な情報を取得し、処理する、Trillionsensorの時代がもうすぐそこに迫ってきています。これにより、半導体集積回路技術は、医療、薬品、農業、畜産、食品、物流、建築、土木といった多種多様な分野に応用されていくはずです。技術がコモディティ化する中で、製品の差別化を図り、「尖った」競争力あるモノを実現するためには、集積回路設計技術が不可欠です。研究室では、ディジタル、アナログ回路設計のみならず、センサ、デバイスといった要素技術から、アーキテクチャ、ソフトウェアまでを研究領域とします。技術の出口まで意識して研究を行うことにより、ICT(情報通信技術)の発展に貢献します。卒業研究では、学生が自らが回路、アーキテクチャの提案をし、創意工夫しながら、自主的に実験・測定を行うことを期待します。また、そのために、デバイスに関係する物理的な背景から、測定技術やソフトウェアの内容まで、非常に幅広い分野を学ぶとことができます。また、自らが課題をやり遂げた、という成功体験は、どの分野に進んだとしても、将来、必ず役に立つはずです。上口光准教授2002年広島大学卒業、2004年広島大学大学院博士課程後期終了、博士(工学)取得。広島大学、東京大学、中央大学を経て、2014年より現職。研究分野は、半導体集積回路設計、計算機アーキテクチャ。集積回路設計技術が切り開く未来:新たなサービス、産業の創出を⽬指して53

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です