工学部研究紹介2016|信州大学
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1.0 μm何度も同じ反応を検討し、反応条件を最適化していきます。水浴を使い、反応の温度を一定に保っています。物質⼯学科⼾⽥研究室研究から広がる未来卒業後の未来像戸田研究室では、新しい有機分子の設計・開発を行っています。医薬・農薬などの原料となる低分子から材料化学などの高分子まで、身の回りには有機化合物がありふれています。分子レベルでのものづくりにおいて、有機合成化学はその根幹を成す極めて重要な研究領域です。現代の有機合成化学はものづくりのツールにまで成熟しましたが、この分野のさらなる発展には「常に新しい分子をつくり、その性質を理解する」ことが不可欠です。私たちは未知である分子のふるまいを理解する方法として触媒反応に着目し、新規触媒反応系の開発に取り組んでいます。科学技術の発展に伴い、有機合成化学を駆使した「ものづくり」にもさらなる進歩が求められています。通常の化学反応では、必要なものだけではなく、不要なものも得られてしまうことがしばしばあります。私たちは触媒の力によって化学反応を自在に制御し、欲しいものだけを選択的に得る方法を探索しています。このような選択的反応の開発研究は、今後の有機合成化学において学術界のみならず、関連産業にも大きく寄与するものと考えています。有機合成化学は分子レベルでものづくりの基礎を習得するため、幅広い分野で活躍することができます。研究活動を通し、化学系の企業はもちろん、様々な分野において必要な能力を伸ばすことができると考えています。戸田泰徳助教東北大学理学部卒、東北大学大学院理学研究科化学専攻博士前期課程修了、同博士後期課程修了。米国ヴァンダービルト大学博士研究員を経て2015年4月より現職。専門は有機合成化学、新規触媒反応の開発。新しい分⼦をつくり、触媒反応を通してその性質を理解する分析装置(高速液体クロマトグラフィー)を用いて、反応の選択性を調べています。46

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