工学部研究紹介2016|信州大学
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NaClをフラックスとして用いる方法によって合成した、六角板状の自形をもった膨潤性マイカ結晶写真サイズ高さ4.35cm×幅7.5cm配置位置横11.4cm、縦2.85cmゾルゲル法で低温合成したαアルミナ微粒子。少量の有機物を含むゲルから、極めて低温域でαアルミナが生成することを見出した写真サイズ高さ4.35cm×幅7.5cm配置位置横11.4cm、縦8.15cm物質⼯学科⼭⼝研究室研究から広がる未来卒業後の未来像私たちの身の回りには、いろいろな無機材料・セラミックスが使われています。山口研究室では、マイカ(フッ素雲母)やアルミナを中心とした、様々な無機材料の合成や応用に関する研究を行っています。マイカの研究は、信州大学工学部において古くから継続的に行われているものです。現在は、新しい膨潤性マイカ結晶の合成や粒子形態の制御、マイカ結晶の層間にナノ空間を形成した複合体の合成や機能化に取り組んでいます。また、無機塩水溶液を利用する新規ゾルゲル法によるアルミナセラミックプロセスについての研究を進めています。マイカやアルミナといった無機材料は、古くから研究・利用されてきているもので、そのような意味では必ずしも新しいものではありません。しかしながら、研究を進める中で、これまでに得られていない組成のものをはじめて合成できたり、いままでにない現象を見出したりすることが多くあります。同研究室では、4年生や大学院生がそれぞれの研究テーマのもと実験を行っています。卒業(あるいは大学院修了)後は、セラミックスやガラスに関係する企業のほか、電機・電子関係や化学・材料系のメーカーに就職する学生が多く、研究室の卒業・修了生が様々な分野で活躍しています。山口朋浩准教授信州大学大学院工学系研究科修了。信州大学助手および助教を経て、2011年より現職。研究分野は無機材料化学、セラミックス、粘土科学など。化学を活かして無機材料を創る。セラミックスの材料化学卒業後の未来像研究から広がる未来酒井研究室“美”と“健康”に貢献するコロイド・界面化学油と水の混合(乳化)、微粒子の粉砕・分散、化学反応などにホモジナイザー(歯車高速回転式撹拌機)や超音波照射機を使用しています写真サイズ高さ4.35cm×幅7.5cm配置位置横11.4cm、縦2.85cm酒井俊郎准教授株式会社コンポン研究所・ニューヨーク州立大学・東京理科大学・信州大学ファイバーナノテク国際若手研究者育成拠点を経て、2012年より現職,研究分野はコロイド・界面化学水中に油滴が分散しているエマルションの光学顕微鏡像。エマルションは、化粧品、食品、医薬品分野などで利用されています写真サイズ高さ4.35cm×幅7.5cm配置位置横11.4cm、縦8.15cmO/W物質⼯学科地上の70%、体内の70%が水と言われていますが、均一な溶液はほとんど存在せず、その大半が分子集合体や液滴、固体粒子が分散したコロイド分散系となっています。すなわち、自然界や生体は、コロイド分散系から構成されていると言っても過言ではありません。コロイド分散系は、液体中に微小空間を形成していることになります。酒井研究室では、この液体中の微小空間(ミセル・液滴・気泡)を利用して、ナノメートル(nm)(10億分の1メートル)~マイクロメートル(m)(100万分の1メートル)サイズの材料創製に取り組んでいます。科学技術の進歩に伴い、製品は小型化し、性能は日々向上しています。酒井研究室では、さらなる高性能化を目指して、高純度コロイド材料の製造技術の開発に取り組んでいます。例えば、乳化剤を使用しない乳化技術や還元剤を使用しない金属ナノ粒子合成法の開発です。この技術は、近年の環境問題や資源枯渇問題などを克服する低環境負荷・省資源・省エネルギー型材料創製技術になりえるものと期待しています。コロイド分散系は、自然界、生体における重要な構成要素です。そのため、コロイド分散系は、様々な分野(例えば、化粧品、医薬品、塗料、洗浄剤、食品、触媒、表面加工分野など)で応用されています。44

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