工学部研究紹介2016|信州大学
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着色した廃液から着色成分除去を目的として行った膜分離実験の装置図と実験結果。膜ろ過により着色廃液からほぼ透明な液体を回収中空状高分子膜の断面写真。膜の厚さや大きさを変化させた中空糸膜が作製できる物質⼯学科清野研究室研究から広がる未来卒業後の未来像清野研究室では、高分子材料の一つである高分子膜に関する研究を行っています。多様な高分子膜を作製し、それらを利用した様々な膜プロセスに取り組んでいます。例えば、有用な成分を含んだ混合液があったとすると、有用な成分だけを取り出すことができれば、その成分を再利用することができます。また、取りだした成分が、環境に悪影響を与える物質であれば、環境保全にもつながります。同研究室では、有機溶媒を含む廃液からの有機溶媒のみの回収や、排液中に含まれる有用成分の回収などの膜プロセスに関する研究を行っています。各種膜センサーの開発にも取り組んでいます。環境保全の重要性は言うまでもなく、資源の少ない日本においては、いかに資源を有効に活用するかが大きな課題です。膜分離プロセスは、これらの課題を解決できる手段の一つです。清野研究室で取り組んでいる様々な膜プロセスを複合的に組み合わせることにより、様々な物質を感知し、必要な物質を分離し、それを回収し、再利用システムの構築が可能となります。学部卒業生のうち、多くが修士課程に進学し、研究活動や勉学を継続しています。その後は、研究内容を生かして膜分離の事業を行う企業や高分子材料関係の企業に就職する学生が多数です。清野竜太郎准教授信州大学助手、助教授を経て、2007年より現職。専門は、高分子化学、高分子材料。特に、高分子膜の合成、高分子膜輸送現象の解析、高分子膜分離プロセス。必要なものだけをいかに分離するか“膜”の可能性を探る遺伝子組換えに使うDNAを抽出している実験(左)と無菌的なクリーンベンチ内で微生物を単離する大学院生(右)写真サイズ高さ4.35cm×幅7.5cm配置位置横11.4cm、縦8.15cm遺伝子組換えによってキノコのセルラーゼを生産するコウジ菌写真サイズ高さ4.35cm×幅3.6cm配置位置横15.3cm、縦2.85cm蛍光タンパク質によって可視化した植物細胞壁中のセルロース物質⼯学科野崎研究室研究から広がる未来卒業後の未来像野﨑研究室では、自然界に生息する微生物から有用な酵素を見つけ出し、バイオマスの分解と利用に活用する研究を行っています。バイオマスは再生可能な資源であり、主に微生物の酵素によって分解されています。この分解システムは、生物が長い進化の過程で獲得してきた効率的なものです。人類がこれををうまく利用するためには、必要な酵素を取り出し、大量生産し、さらには活性や機能、安定性を上げることによって、目的の化学反応に適したものに改良する必要があります。我々とともに微生物がもつ未知の機能を探索し、バイオマス利用の可能性を追求してみませんか。微生物の種類は無限大、しかもそのほとんどは未知の生物です。この中には人類にとって有用な酵素を生産しているものもいるかもしれません。野﨑研究室では、微生物のバイオマス分解酵素の生産性を上げたり、遺伝子組換え技術によって酵素を改良する研究を行っています。酵素は温和な条件で、ある決まった反応だけを正確に進行させます。バイオマスと酵素は、環境調和型の化学プロセスを実現する上でますます重要な役割を果たすようになるでしょう。酵素の利用分野は、化学、医薬、食品、農業、繊維や環境など多岐にわたっています。また、同研究室で習得できる実験技術は、化学系や生物系などの企業で活用できます。より高度で専門的な研究を行うため、修士課程や博士課程の大学院に進学する学生もいます。野﨑功一准教授北海道大学で博士(農学)を取得後、信州大学助手を経て、2005年より現職。青森育ちで自然と田舎をこよなく愛する。専門分野は、生物化学、遺伝子工学。微生物酵素の基礎と応用研究を行う。微⽣物に学ぶバイオマスの分解と利⽤!〜遺伝⼦組換え技術による酵素の⽣産と改良〜43

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