工学部研究紹介2016|信州大学
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発光する透明な雲母セラミック透明な雲母セラミックの電子顕微鏡写真(ガラス中に雲母が析出)ナノサイズの雲母結晶(雲母の層状構造が確認できます。)紫外線の照射により発光可視光下5mm物質⼯学科樽⽥研究室研究から広がる未来卒業後の未来像カーボンナノチューブ複合セラミックスは、セラミック人工関節の長寿命化、雲母複合セラミックスはセラミック歯科材料の高精密化、を目的に研究しています。その他にも、人工骨や再生医療には欠かせないスキャホールドなど、セラミック生体材料の高性能化に関する研究を行っています。雲母のイオン伝導性に関しては、高プロトン伝導が得られるなら燃料電池の固体電解質への応用、また、透明な雲母材料は発光も可能で、白色LEDなどの新規発光体としての応用、が期待できます。これまで考えてもいなかった分野へ、雲母を応用することを思案しています。材料化学は、幅広い分野の内容を含みますので、それらの知識・経験を身につけることで、どんな分野の製造業にも対応できます。卒業生・修了生の多くは、いろいろな製造業へ就職していますが、特に、修了生は化学・材料分野の企業への就職が多い傾向にあります。樽田誠一教授長野県屋代高等学校卒、横浜国立大学工学部卒、東京工業大学理工学研究科修士課程修了、同博士課程中退、信州大学助手、講師、助教授を経て現職。専門は無機化学、無機材料化学、セラミックプロセッシング、セラミック物性。セラミックプロセッシングを駆使した新材料の創成。⾮常識な材料をめざしてセラミックスの亀裂の進展を妨げているカーボンナノチューブ2m5mm市販のドリルで穴が開くジルコニアセラミックスセラミックスは有用な性質や機能がたくさんありますが、「脆いこと」と「加工が難しいこと」が、大きな弱点です。樽田研究室では、セラミックスへカーボンナノチューブや雲母などを複合化して、脆さを改善する研究や機械加工を可能にする研究に取り組んでいます。雲母は化粧品や塗料など様々な分野で応用されている物質で、物質工学科では前身の工業化学科・合成化学科の時代から雲母に関する研究を継続して行っています。樽田研究室でも、雲母に関する研究を引継ぎ、上記の雲母-セラミックス複合体の他に、雲母のイオン伝導や透明な雲母セラミックスなど、雲母の常識を覆す研究に取り組んでいます。めっき法によって作製したディスプレイ材料の電子顕微鏡写真。各パターンの表面にはカーボンナノチューブが固定されている写真サイズ高さ4.35cm×幅7.5cm配置位置横11.4cm、縦2.85cmカーボンナノチューブ表面に形成されたパラジウム触媒ナノ粒子。無電解めっき法と呼ばれるめっき手法によって形成写真サイズ高さ4.35cm×幅7.5cm配置位置横11.4cm、縦8.15cm2.25 Å 5 nm物質⼯学科新井研究室研究から広がる未来卒業後の未来像新井研究室では電気化学的手法、特に“めっき”による機能性材料の開発に取り組んでいます。“めっき”は現在、パソコン、携帯電話、スマートフォンをはじめとするすべての電子・半導体機器に不可欠なテクノロジーであり、ナノ材料や電池材料等の作製法としても期待されています。研究室ではカーボンナノチューブ(CNT)用いた「金属/CNT複合膜」や「ナノ金属粒子修飾CNT」等の材料を“めっき”により作製し、それらのリチウムイオン電池材料、燃料電池材料、ディスプレイ材料、耐摩耗材料、高熱伝導材料等への応用を検討しています。新井研究室では、めっき技術の可能性を追求しています。めっきはマイクロ・ナノサイズの金属材料作製法であり、様々なナノ金属材料や金属複合材料の開発が期待できます。再生可能エネルギーの実用化に不可欠な二次電池の電極材料、省電力・高画質ディスプレイ用材料、摩耗の少ないコーティング材料、放熱性に優れる材料等、新規機能性材料を提案し企業との共同研究により実用化を目指します。めっき技術はめっき専門企業だけでなく、エレクトロニクス関連企業全般で重宝されています。そのため、卒業後は化学系メーカーだけでなく、家電メーカー、電子部品メーカー等への就職が多いのが特徴です。新井進教授長野県技術系研究員等を経て、2011年より現職。専門分野は電気化学、分析化学。「鉛フリーはんだめっき」や「カーボンナノチューブ複合めっき」等、めっき技術の研究に従事。『ナノ材料』から『電池材料』まで。めっきによる次世代機能性材料の開発41

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