工学部研究紹介2016|信州大学
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研究のフィールド卒業後の未来像建築学科善光寺と周辺街区について調査・研究を行うフィールド。現在、重要伝統的建造物群保存地区への登録を目指している山国である日本における山岳文化のひとつ。山岳にたてられた山小屋について調査・研究を行う⼟本研究室長野県は、南北に広い県であり、また、山地であるために、それぞれの地域で固有の生活文化や人々のいとなみが見受けられます。そのため、土本研究室における、建物調査や研究をおこなうためのフィールドは多岐に渡ります。それぞれのフィールドで、その地域の歴史や文化をふまえ、実際に現地に住んでいる方々のお話もお聞きして、建物を調査、研究しています。土本研究室では、主に長野県における伝統的建造物の建物調査や、建物調査をもとにして、建造物の保存・再生に取り組んでいます。建物は人間が文化的な生活を送る上で重要な要素です。同研究室では、調査の際に、建物単体のみをとらえて調査をおこなうのではなく、その建物がたつ地域の歴史や、人々の生活文化についても学ぶことで、地域の人々の考えにより身近にふれることができます。これら調査の結果は、定期的に開かれるワークショップなどで、地域社会に対して発信しています。また、文化的なたてものを後世にまで残していくことは、重要なことであり、土本研究室では、建物調査をふまえた上で、文化的な建物に対して保存や再生に関係した取り組みを行っています。保存の取り組みとしては、登録文化財や重要伝統的建造物群保存地区への登録があり、再生の取り組みとしては、利活用案や設計案の提案などがあります。土本研究室では、調査や研究をとおして、直接建築やそこに住む人の生活にふれ、建物の保存や再生方法について学ぶ機会が多いです。そのため、こうした研究室の活動をとおして得られた貴重な経験や知識を活かし、卒業後は、建物の設計や施工管理、文化財の保存や再生などの建築に関わる仕事に就く人が多くいます。地域の歴史と⽂化をふまえた建物調査、伝統的建物の保存と再⽣土本俊和教授東京大学卒業、同大学院修了、東京工芸大学助手、信州大学助手、助教授を経て2001年より現職。ヘリコプター(高度1000m)による長野市中心部の熱画像。駅北側に多数ある駐車場は表面温度60℃を越える程高温化している同地区カラー写真。駅前に広がるビル群の周囲に駐車場が多数あることが分かる。樹木や公園が少なく、みどりが少ない地域である⾼⽊研究室研究から広がる未来卒業後の未来像建築学科高木研究室では、環境工学の視点から建築物、まちづくりを研究しています。私たちはほとんどの時間は建物の中で生活をしています。建物の中が健康的であり快適であることは重要です。そして建物の中の空間は建物の外の空間とつながっています。建物の中の環境を良くするために、建物の外の環境を考えることが必要です。同研究室は都市環境に関する研究を行い、ヒートアイランド対策や風の道に関する研究を行っています。また地域のエネルギー問題や環境問題全体を捉えて、まちづくりを考え、その先にある地球環境問題について研究をしています。日本では都市部への人口の集中、都市域の無秩序な拡大の影響で、中山間地の疲弊、都市中心部の衰退が問題となっています。中心市街地を復活し、人々が健康的に生活できるまちをつくるために、計画的なまちづくりが必要です。そしてそこには地球全体までを見据えた環境の視点を欠かすことができません。私たちはこのような将来を見据えた研究を行っていきます。環境問題に精通した卒業生は社会的にニーズが高く、卒業生はそれぞれの分野で活躍をしています。官公庁や大手ゼネコン、設計事務所でまちづくりに関する仕事をしたり、環境に配慮した建築物の設計、建設に関わる仕事をしています。高木直樹教授東京工業大学博士課程修了後、信州大学で30年勤務。建築物の環境性能に関する研究の他に、リモートセンシングや交通環境など幅広いテーマで研究している。ウルトラマラソンやトライアスロンを走るアスリートでもある。地球の未来を考えた建築物、まちづくりを提案する35

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