工学部研究紹介2016|信州大学
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建築学科浅野研究室研究から広がる未来卒業後の未来像素材丸太から製材過程を経て住宅建設までの木材の流れ木質バイオマスの有効利用東日本大震災後、住宅のエネルギー状況は大きく変化しました。省エネルギー法が改正になり、住宅の断熱性能は今後大きく改善します。同時に木材の積極的利用が促進されています。国産材の需要を高めていくことは伐採時期を迎えた森林の整備に大きく貢献し、生物多様性の原点となる森林の成長を促すことにつながります。循環型社会を成熟させるために建築分野から廃棄物の排出削減とリサイクル材の活用を考えていくことが大切です。建築・住宅の設計から施工まで環境に配慮した手法とその実施が豊かな社会を持続させていくために必要です。その担い手として国民から強い期待が寄せられています。浅野良晴教授1979年東京工業大学大学院博士課程建築学専攻修了。1984年信州大学工学部建築工学科助教授を経て現在建築学科教授。寒冷地住宅の建て方、住宅のエネルギー需要の分析、木材の流通、建設廃棄物のリサイクルの研究を行っている。地球温暖化防止の観点から住宅における二酸化炭素の排出量削減を研究しています。寒冷地の住宅では外気に面する壁、屋根、床や開口部の断熱・気密が重要です。木材は炭素固定の源です。木材の利用促進のため、森林から住宅における木材の流通を調査しています。また住宅の建設時、解体時に発生する廃棄物のリサイクルを研究し、建設資材における資源循環を進めています。こうした調査・研究をもとに、環境負荷の少ない住宅生産の具体的提案を行っています。⽊造住宅の寒冷地対策と国産⽊材の流通に関する調査・研究鋼材強度の影響を把握するためのコンクリート床が取り付き、積載荷重が作用する大スパン大梁の実験・数値解析であるサイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cmメガトラス大梁の限界性能を評価するために、実大モデル試験体を用いて実験しているサイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦7.8cm⾦⼦研究室研究から広がる未来卒業後の未来像建築学科金子研究室では、安心・安全な鋼構造建物を設計するために、建物を構成する要素である鉄骨部材・骨組の耐震性能を評価する研究に取り組んでいます。大きな地震に対しても建物の構成要素が弾性範囲にとどまり健全で安心な鋼構造建物を構築するために、強度の高い鋼材の適用を図る。その構成要素の耐震性能を評価する方法について研究しています。また、大地震で弾性の限界を大きく超えて変形する一般的な鋼構造建物に対して倒壊を防止するために、構成要素の限界性能について適切に評価する方法を研究し、安全な鋼構造建物の構築を目指します。阪神大震災は多くの建物の倒壊・損傷をもたらしました。その後建物の揺れを軽減する制振装置を組み込む建物が多くなりました。金子研究室で行っている研究を通じて、大規模な地震に対しても軽微な損傷や無損傷の鋼構造建物を再使用できる構造設計法の道を広げていきます。また、強度の異なる鋼材の合理的使用は、鋼構造建物の多様な形式の実現につながります。鋼構造建物の生産という面においても生産効率及びコストパフォーマンスの向上が望めます。ゼネコンでの構造設計・施工管理など、構造設計事務所の他、鉄鋼・建材メーカー、鉄骨ファブリケーターなどの主に鋼構造に関わる企業、また研究機関にも道が開けています。金子洋文教授1982年東京工業大学大学院博士課程社会開発工学専攻修了。竹中技術研究所を経て2014年から現職。鋼構造の部材・骨組の地震に対する安全性の評価や、鋼材の制振部材の合理化などの研究を行っている。耐震性能を適切に評価して、建物の安⼼・安全を探求する34

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