工学部研究紹介2016|信州大学
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諏訪湖での湖上観測風景役割を手分けし、流速や水質などを観測している長野市内における地形からみた水害危険区域(黄色・赤色部分)今昔の地形図を判読して、地形特性から水害危険区域を抽出する豊⽥研究室研究から広がる未来卒業後の未来像⼟⽊⼯学科世界各地でさまざまな水環境問題や水害が起きています。豊田研究室では、主に長野県内の湖沼・河川を中心として、これらへの対策を「水の動き」の観点から考えています。具体的には、現地観測・コンピューターシミュレーション・地形図の判読などを通して、「水の動き」を計測・予測することにより、諏訪湖における水環境問題解決や長野市内における水害対策策定のための基礎的な現象の解明を行っています。その他、水害に対する住民意識アンケートや環境・防災の両面を考えた今後の川のあり方の検討など行政に近い内容の研究も行っています。人は自然の中に住まわせてもらっています。自然現象を少しずつ解明していき、それらの結果をふまえて自然とどうつきあっていくかを考えることは、土木工学の醍醐味の一つです。自分たちの研究・調査結果に加えて、他の研究者(例えば、生物・地質など)や行政などが出した結果をあわせて総合的にとらえ、よりよい自然とのつきあい方を考えていくことがこれからの時代では必要になってきます。豊田政史助教京都大学大学院修士課程、運輸省港湾技術研究所研究官、信州大学工学部助手を経て、2007年より現職。研究分野は、湖沼・河川における「水の動き」。国・県・市などで土木事業全般に幅広く携わる「公務員」が最も多く、次いで計画・調査・設計業務を主に行う「建設コンサルタント」、その他ではIT関連企業に就職した学生もいます。⽔環境問題や⽔害を『⽔の動き』の観点から考える2007年8月1日、アメリカミネソタ州でI-35W橋梁が崩落し、死者13名、負傷者145名の大惨事になった。この橋の橋齢は40歳未満だったサイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cm日本では、戦後高度経済成長期に多くの橋梁が建設された。橋梁の老朽化が急速に進んでいるサイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦7.8cm30% 13% 10% 9%9% 3% 1%4% 6% 1% 12%2% 56%44% ,,1955~19591960年代1970~19721920年以前1920年代1930年代1940年代1950~19541972~19791980年代1990年代2000年代不明曹研究室研究から広がる未来卒業後の未来像⼟⽊⼯学科日本は人口の高齢化だけでなく、橋梁の高齢化も急速に進んでいます。長野県では、2022年に約54%の橋梁が50歳以上の高齢化橋梁になります。図示の橋梁崩落事故を日本で発生させないようにするためには、橋梁の維持管理技術がとても重要です。曹研究室では、橋梁劣化のメカニズム(アルカリ骨材反応、鋼材腐食、中性化、塩害、凍害、化学腐食、疲労等のメカニズム)、橋梁劣化診断の技術、日米欧における橋梁マネジメント技術、橋梁の長寿命化等に関する研究を行っています。現役橋梁の点検や劣化診断、調査をするために、橋梁の現場にも行きます。曹研究室では、基礎知識や工学の専門知識をベースに、卒業研究を通じて、問題が見つけられ、解決する能力や観察力、仲間と助け合える協力性、国際感覚を有する人間性豊かな研究者を養います。将来、土木工学分野の研究者・技術者の質を有する国家・地方の公務員になることも可能であり、土木・建設会社の現場一線で力を発揮することもできます。更に、日本だけでなく、海外でも技術者として活躍できます。土木や建設分野の国家・地方公務員になり、道路・橋梁等の維持管理に携わります。沖縄県庁(本人の故郷)に入った卒業生がいます。建設会社や原子力発電所、JR等の就職先で活躍されています。洋食屋の料理人に転身した学生もいます。曹西助教曹研究室には、現在5名の卒研生がいる。劣化したコンクリート橋梁の耐震性考察;地域住民に与えるストレスを最小にする橋梁の補修・補強計画;逆輻射及び対流影響を考慮した道路の熱伝導に関する数値解析等の研究をしている。橋梁劣化のメカニズム・要因を明らかに、橋梁の⻑寿命化を⽬指す33

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