工学部研究紹介2016|信州大学
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寒川研究室年最大日降水量の100年超過確率降水量経年的に増加傾向にある(新潟)年降水量の非超過10年確率降水量経年的に減少傾向にある(新潟)研究から広がる未来卒業後の未来像⼟⽊⼯学科寒川研究室では、治水・利水計画を策定するための降水量の非定常頻度分析に取り組んでいます。治水計画とは洪水に対する計画、利水計画とは渇水に対する計画です。従来、これらの計画に用いる確率降水量は定常頻度分析から求めていました。ところが、降水量時系列は非定常性を示すことが明らかにされてきました。従って、非定常頻度分析が必要となってきます。同研究室では、この課題に早くから対応しています。今後は、GCMデータを使用した非定常頻度分析が行われ、洪水・渇水に対して安心できる国土の形成がなされる様になります。降水量の非定常頻度分析は、将来起こり得る洪水・渇水を防御する計画指標を与えます。洪水指標は増加する傾向にあり、渇水指標は減少する傾向にあります。どちらの指標も洪水・渇水規模を大きく取らなければなりません。このような指標により治水・利水計画を行うことは、世界的にみても初めての経験です。すでに、寒川研究室の研究は行政の指示待ちの状況になっています。洪⽔・渇⽔に対する治⽔・利⽔計画を策定するための⾮定常な確率降⽔量の算定寒川典昭准教授信州大学工学部助手、助教授を経て、2007年より現職。主な研究分野は、水文・水資源工学。特に、治水・利水計画に用いる降水量の非定常頻度分析。この分野での先駆的な論文を発表。現在、実用化の段階。寒川研究室の卒業生は、公務員、コンサルタンツ技術者となり、大いに活躍していいます。研究室で研究した内容を実務に生かすには、今少し時間がかかりますが、そのような状況になることは大いに期待されます。⾼瀬研究室研究から広がる未来卒業後の未来像⼟⽊⼯学科高瀬研究室では、土木計画、そのなかでも主に交通に関する分野について研究を行っています。計画を策定したり施設の整備を効率的かつ効果的に行うためには、利用者の需要を予測したり、定量的・定性的な評価をしたりする方法について、より精度の高い手法を構築する必要があります。そのため現在研究室では個人の交通選択行動を社会学・心理学的視点からだけでなく、自然科学的な要素も考慮して分析するモデルの構築に取り組んでいます。この様に人の行動を明らかにすることによって、交通を基軸としたまちづくりを進めて行くことに取り組んでいます。高瀬研究室では、現在長野県内において顕在化している、さまざまな交通に関する問題に対して取り組んでいます。また自治体等と連携し調査や分析を行ったり、公共交通の利用促進策を計画したりしています。このような取り組みを通じて同研究室では将来的には人の移動を考えた交通体系を考えたまちづくり、「交通まちづくり」を進めていきます。高瀬達夫准教授1996年より信州大学工学部に勤務。主な研究分野は土木計画、交通計画。⼈の⾏動を分析し、交通を基軸としたまちづくりを進める将来の基軸となる種々の交通システム世界の都市の交通まちづくり「交通まちづくり」を進めて行くためには、単に人の行動の把握や交通システムに関する知識を有するだけでなく、地域の人々とのコミュニケーションが欠かせません。将来はこれらを身に付けた行政職員やコンサルタントとして、よりよい地域づくりを行う人になることが考えられます。31

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