工学部研究紹介2016|信州大学
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CFRP/GFRPハイブリッドI型梁の変形とz方向の直応力分布図サイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cmSiC補強5456Al弾塑性複合材料の巨視的応力ひずみ関係の予測及び実験値との比較サイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦7.8cm⼩⼭研究室研究から広がる未来卒業後の未来像⼟⽊⼯学科土木材料としては、鋼材・コンクリート・地盤材料等が主として用いられていますが、最近ではFRP(繊維補強プラスティック)やFRC(繊維補強コンクリート)といった新しい材料も使われるようになっています。例えばFPRに着目すると、自動車産業等では大きな地位を占めていますが、土木分野においてはFRPのみで作られた橋が日本には一橋しかないように、巨大構造物に使用したときの性質については、解明されていない点や改善すべき点が幾つかあります。小山研究室では、このような材料や構造物の力学的な挙動を予測するための数値シミュレーションを行っています。上で挙げたような材料には、耐震上有利な軽量性、比較的厳しい環境での建設に有利な耐腐食性、デザイン上有利な流動性といった特徴があり、従来に比べ自由度の高い土木構造物の設計が期待できます。また、このような材料の製造による環境へ負荷は高いと言われており、前もって材料の性質をある程度の精度で予測できるツールがあれば、材料の設計という観点からも望ましいものとなります。同研究室が正式に発足してから5年目のため、卒業生をそれ程多く輩出してはいませんが、その大半が土木系公務員に、他に総合建設業やライフライン系の企業へ就職しています。小山茂准教授東北大学大学院工学研究科博士後期課程修了後、同大学助手、信州大学工学部助手・助教を経て、2009年より現職、専門は計算力学、材料力学。建設マネジメントに関するシミュレーションにも興味がある。⼟⽊⼯学における新しい材料を解析する3年生の授業での実験(左)、土だけでは亀裂が入って破壊(右上)、稲わらを混ぜると強度が格段に増加(右下)学内より採取した粘土(右上)に数トン以上の荷重をかけて地下数百メートルの地盤を再現した超硬質粘土(右下)河村研究室研究から広がる未来卒業後の未来像⼟⽊⼯学科河村研究室では、橋や建物などの構造物を支える地盤を対象とした研究を、主に室内試験に基づいて実施しています。豪雨による土砂災害は、地盤を構成する土が雨水を吸水することによって土中の水分が増加し、土の強度が低下するために発生します。そのような場合を想定して、土の強度低下特性についての研究を行っています。また、土木構造物に用いられるコンクリートや鉄筋と比較して弱い材料である土を補強し、巨大土構造物を築造するための研究も実施しています。さらに、大深度地下における超硬質粘土の強度や変形特性についても検討しています。土の力学特性の解明のような基礎研究だけでなく、地盤の補強のような応用研究も行われています。地盤の補強は急勾配高補強盛土として実用化されている技術に対する研究であり、近年増加している豪雨時における安定性に対する対策が課題です。超硬質粘土の力学特性の解明は、大深度地下都市の開発に繋がります。同研究室では、学生たちがこれらの実験・解析を日々行っています。卒業生の多くは、官公庁などの公務員、建設会社や建設コンサルタントなどの土木技術者として地域や社会に貢献しています。4年生で卒業して就職する学生も多いですが、大学院に進学する学生も少なくありません。河村隆准教授九州大学工学部卒、信州大学工学部助手、学内講師、助教を経て、2015年より現職。主な研究分野は、粘土の水分保持特性の評価、ジオグリッドを用いた地盤の補強、の評価など。巨⼤⼟構造物の築造から⼤深度地下の開発。地盤の補強と超硬質粘⼟の⼒学特性30

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