工学部研究紹介2016|信州大学
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悟性のないところに情報は存在しない。情報の本質はデジタルであり、不連続である。情報の本質は数式の向こうに透けて見える写真サイズ高さ4.35cm×幅7.5cm配置位置横11.4cm、縦2.85cm学生は各自が個別の研究テーマに取り組んでいる。だからこそ仲間からの率直な意見は貴重である。親睦も深めなければ写真サイズ高さ4.35cm×幅7.5cm配置位置横11.4cm、縦8.15cm⻄新研究室研究から広がる未来卒業後の未来像電気電⼦⼯学科いわゆる地デジ放送が始まったとき、地震の緊急信号も映像情報と一緒に送られていました。ところが映像の圧縮処理による遅延が緊急信号にも影響していることが問題になり、別系統の処理となるように改められました。緊急信号が1秒遅れるだけでも被害の拡大は甚大になるのです。情報の伝達と遅延の関係を解き明かすことができれば、緊急信号の伝達方法の改善につながるかも知れません。あるいは、もっと高画質の動画をストリーミングで楽しめるようになるかも知れません。通信、放送、情報記録などはすべて情報源から受信者へ情報が届けられる過程とみなすことができます。西新研究室では様々な情報伝送システムを数理モデルで表現し、性能の理論的な限界を探求しています。例えば、ネットワークでの動画配信などのストリーミング技術では、滑らかな再生を実現するために帯域幅とデータ圧縮のバランスを考える必要があります。実用のためのノウハウは蓄積されていますが、事象の背後にある数理は解き明かされたとは言えません。理論的限界を示すことによって今後の改善の余地を見極めることができます。研究の手段としてプログラミングを行ないますのでその技術が身に付きます。情報関係の就職には大変有利でしょう。また、揺るぎない理解に到達していることをプレゼンで示す訓練を積みますので、就職後は周囲の信頼を集めることでしょう。西新幹彦准教授電気通信大学助手を経て、2007年より現職。情報理論の研究に従事。システムエンジニアの経歴も持つ。情報源符号化の現象を数理科学で解き明かし、理論的限界に迫る研究から広がる未来卒業後の未来像電気電⼦⼯学科進化計算による大規模・多数目的最適化問題解法のイメージ=複雑化したシステムの管理・運用における最適オプションを導き出すメキシコ最高峰の大学院大学CINVESTAVと信州大学間の国際交流協定締結(左からCINVESTAVパラシオ学長、コエロ教授、田中教授)田中研究室田中研究室では、生物の遺伝と進化の過程を模倣して構築された『進化計算』を用いた『多目的最適化』とその応用技術の研究開発に力を入れています。『多目的最適化』は、品質とコストのように相反する複数の目的関数を考慮しなければならず、産業応用や意思決定における重要課題です。多数の目的関数と設計変数を含む複雑な最適化問題を、効果的かつ効率良く解法する新しい『多目的進化アルゴリズム』を開発すると共に、研究所や企業との共同研究により、『多目的最適化』が求められる様々な実世界応用の研究を進めています。『多目的進化アルゴリズム』では、集団に属する多数の個体を複数の目的関数を用いて評価し、優れた個体を親として選び、その遺伝子情報を交配・変異して子を作り、集団全体を進化させる操作の反復によって、POSと呼ばれる妥協解集合(多数の選択肢)を一度に求めることができます。新しいエネルギーシステムとして注目されるスマートグリッド、クラウドコンピューティングや、ものづくりにおける設計変数(複雑な形状を表現するパラメータ)導出など様々な応用が期待されています。研究室の卒業生・修了生は、電気、電力、通信、情報処理、機械、電子デバイス、医療システムなどの幅広い分野のメーカーに就職し、主にエンジニアとして研究開発に携わり、活躍しています。内外の大学で教員として教育研究に携わっている人材もいます。田中清教授1995年から信州大学工学部で勤務。グローバル教育推進センター長。企業との共同研究による産学連携と共に、国際交流にも力を入れ、研究室では多数の留学生を受け入れ、国際色豊かな教育研究を行っている。『進化計算』による『多⽬的最適化』と実世界応⽤の研究26

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