工学部研究紹介2016|信州大学
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松中研究室分子動力学法によるマグネシウムの変形に関する解析と第一原理計算による合金元素探索マップ。原子レベルでの変形メカニズムの理解と合金元素候補の提案を行っているサイズW7。5cm×H4。35cm配置位置横11cm、縦2。5cm第一原理計算による金属と酸化物の異種材料界面の電子状態。異なる材料の界面では複雑な結合が生じていることを明らかにした機械システム⼯学科研究から広がる未来卒業後の未来像松中研究室では、電子・原子のレベルから材料の特性や現象を解き明かし、最先端のコンピューターを駆使した高性能材料の設計や、省エネルギー・環境調和技術の開発を目指しています。研究課題として、自動車などの輸送機器の軽量化・燃費改善のために実用化が期待されているマグネシウム合金の変形メカニズム解明と合金元素探索、材料の適材適所使用によるマルチマテリアル化のための異種材料界面の解析、表面反応や薄膜成長を原子レベルでの制御するための表面ダイナミクス解析などを行っています。あらゆる材料は電子や原子核から構成されており、その状態を記述する量子力学に基づいて20世紀の物理学は多種多様な現象に対する理解を進歩させてきました。しかし電子や原子核と現実の材料との間には大きなスケールのギャップがあり、ミクロからマクロまでをつないでいくことは未だチャレンジングな課題です。松中研究室ではマルチスケールな視点から材料特性を解明して、電子や原子のレベルから新しい材料を設計するという21世紀のものづくり手法の開発を目指しています。他の大学・研究機関の実験グループや民間企業との共同研究を行って高性能な材料の開発に貢献しています。スタートしたばかりの新しい研究室で卒業生はまだいませんが、ものづくりの基盤を担う材料力学や材料工学から最先端の計算科学や物性物理までを研究活動を通して身につけ、新材料を研究する分野や材料の特性を活かした製品を開発する分野で活躍できる人材を育成します。松中大介准教授日本学術振興会特別研究員、大阪大学大学院工学研究科助教を経て、2015年4月より現職。研究分野は、計算材料科学、固体力学、物性理論。固体⼒学現象をマルチスケールな視点から解明し電⼦や原⼦のレベルからの材料設計を⽬指す卒業後の未来像研究から広がる未来浅岡研究室エネルギーを有効に活⽤することでエネルギー問題の解決を⽬指す浅岡研究室では、熱やエネルギーといった目に見えない現象を扱うため、仮説と実証により問題を解決するスキルが磨かれます。また、実験装置の設計や製作を自分たちで行うため、何でも自分で作れるという自信が身につきます。卒業後は、これらの経験を活かして、周りをリードする独創的なエンジニアとして活躍してくれると信じています。浅岡龍徳准教授東京工業大学大学院博士課程を修了後、青山学院大学助手、同大学助教を経て、2013年より現職。伝熱工学、冷凍に関係した研究に従事。卒業研究の風景吸収式冷凍機により、廃熱のエネルギーを冷凍用途として有効利用する研究。図のように、減圧により水は蒸発し、その作用で冷却されて凍結します。吸収式冷凍機の再生器に廃熱を供給し続けることで、冷凍用途に利用可能な氷を連続的に作ることができます機械システム⼯学科化石燃料の枯渇や原子力の安全性への不安からエネルギー不足に対する危機意識が高まっています。浅岡研究室では、エネルギーを無駄なく有効に活用するための技術に関する研究を行っています。例えば、吸収式冷凍機を使うことで、今まで利用されることが少なかった80~200℃の廃熱を、冷凍や冷房に利用可能な(価値の高い)熱エネルギーとして生まれ変わらせることができます。また、冷凍冷房機器に蓄熱システムを組み込むことで、機器の運転条件を最適化し消費電力を抑えることが可能になります。さらに、蓄熱システムが普及し電力を効率的に使用できるようになると、社会全体で発電設備を減らすことができます。今後、クリーンなエネルギーに依存した社会をつくっていくためには,これらの技術は不可欠です.自然と調和しつつエネルギー不足を回避するためには、新エネルギーを開発するだけでなく、エネルギーの使用量を減らすことが不可欠です。吸収式冷凍機、蓄熱システム、ヒートポンプなど、エネルギーの有効活用の研究は、人々の未来の暮らしを豊かにします。14

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