工学部研究紹介2016|信州大学
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電磁波レーダ装置とレーダ画像(内部断面画像)の例。計測精度をさらに高め、構造物の内部情報を詳細に把握できる技術が目標無線センサネットワークのための端末位置計測実験の様子。センサ端末間の無線通信情報を利用し、端末の位置推定を試みている⾃ら考える計測システム:波動を使って触らず測る知的計測技術の実現高山潤也准教授日産自動車株式会社、東京工業大学大学院理工学研究科助手・助教を経て、2012年より現職。専門は計測工学。知的計測システムの構築、およびそれに係わる高精度計測技術や非線形信号処理理論の研究に従事。卒業後の未来像研究から広がる未来⾼⼭研究室機械システム⼯学科「計測を制する者は、技術を制する」という言葉もあるほど、簡潔で高性能なシステムの実現には、計測技術が不可欠と言われます。高山研究室では、電磁波を使ってコンクリート壁の健全性を診断する技術など、音や光・電波といった波動が反射や伝播してきた様子を分析することにより、非破壊・非接触にものの状態を計測する技術の研究に取り組んでいます。さらに、いつも同じ計測範囲や計測精度ではなく、計測システム自身が目的に応じてその性能を適応的に変化させられる能力を備えた「知的計測システム」へと、これらの技術を発展させることを目指しています。計測技術が高度化すると、どのような世界を実現できるのでしょうか?それは、計測技術と制御技術が融合し、完全自動化された世界ではないかと考えています。たとえば、計測技術によって周囲の環境が完全認識できるようになれば、近い将来では自動運転が可能な(本当の)自動車、その先には人間との共存・協調作業も可能な完全自律型のロボットなど、未来のものと思っていた多くの技術が現実となります。計測は、検査や診断ばかりでなく、ロボットの外界認識や運動制御など、さまざまな技術の実現に欠かせません。ですから、卒業研究を通して身に付けた知識と問題解決能力を基に、機械系のみならず幅広い研究分野で活躍できるはずです。中⼭研究室中山研究室で開発した「常温圧縮せん断法」で成形したチタン材は従来のチタン圧延材と比べると3倍の強度になることがわかった中山研究室で開発した柔軟であり荷重の大きさや方向を検知できる新しいセンサ(右側)とセンサを多数設置した車いす(左側)3 倍研究から広がる未来機械システム⼯学科卒業後の未来像中山研究室では、塑性加工を利用しながら、医学分野と工学分野の連携(医工連携)を中心として新しい材料の開発とセンサの開発や研究を進めています。例えば、今後は介護・福祉分野では介護ロボットが必要となると考えられますが、現在のロボットは金属やプラスチックで覆われているため、要介護者と接触すると危険です。そこで、介護ロボットや介護機器の表面に設置することができ、荷重の大きさや、荷重の方向を検知できる柔らかいセンサを開発しました。他にも、企業と共同で医療分野や自動車分野に利用できる新しい機能性材料の開発も行っています。中山研究室では、新しいセンサの開発や高強度な材料や機能性材料の開発を行っています。新しいセンサは介護機器にも使用できますが、コントローラーや感性工学にも利用できます。さらに開発した高強度な材料を自動車分野や航空・宇宙分野へ適用することも考えられます。また人工衛星の設計・開発も行っており、2014年2月28日にH2Aロケットで人工衛星を打ち上げました。目的を持って研究開発を行い、国内・海外での学会発表を行うような研究生活を送っていますので、あらゆる分野で力を発揮し、活躍しています。特に、中山研究室の卒業生は自動車関連や製造・加工関連で活躍しています。中山昇准教授秋田県立大学助手を経て、2007年より現職。研究分野は、塑性加工、非破壊検査。医学分野、福祉分野に利⽤できる材料開発やセンサの開発12

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