工学部研究紹介2016|信州大学
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榊研究室試作したCSガンノズル:ガスを超音速流にするため先細末広円筒ノズルとし、その中に金属粒子を投入して加速・加熱し、衝突・成膜サイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cm高速で鉄鋼基材上に衝突した銅粒子:基材との界面からマティリアルジェットと呼ばれるひだ状に銅の一部が噴出⇒研究から広がる未来機械システム⼯学科卒業後の未来像耐摩耗特性などにより優れたセラミック/金属の複合材(サーメット)皮膜の開発を高速フレーム(HVAF)溶射にて開発を行っている榊研究室では、機械材料と加工法の研究をしています。環境問題の解決策とも関連し、機械の高性能化を図るため部材がますます過酷な環境下で使用され、部材の外界との接点である表面の高機能化が重要となっています。そこで、現在は厚膜形成が可能なコーティング技術である『溶射法』による高機能皮膜の作製や新しい溶射プロセスである『コールドスプレー(ColdSpray:CS)法』を研究しています。溶射は、材料、力学、熱流体力学などの多数の分野の知識を必要とし、研究室では基礎的な研究から、企業との共同研究によって数多くのアプリケーション開発まで行っています。榊研究室では、新しいコーティング法のCS技術の国内でのパイオニアであり、基礎研究のほかに、新たな可能性を模索した企業との共同研究を精力的に行っています。コールドスプレー法によりカーボンナノチューブ(CNT)を複合させた次世代のリチウム電池用のシリコン電極や新しい接合メカニズムによるセラミック基材と金属皮膜によるパワーユニットの開発などです。自動車、造船、プラントや精密・医療機器などのメーカーに卒業生は就職しています。研究テーマにとらわれず、自分の希望する分野を選択していますが、研究室での基礎学力と現場適応力を身に着けて、企業で活躍しています。榊和彦教授千葉県出身。信州大学工学部機械工学科、大学院(修士)修了、株式会社東芝を経て、1993年信州大助手、1999年より現職。研究分野は、機械加工や機械材料で、現在は、溶射工学を中心に活動。機械部材の⾼機能化のための『コーティング技術(プロセスと材料)の開発』千⽥研究室ホウレンソウのような軟弱な野菜を対象とした収穫自動機械の開発。実現できれば、「農業機械の革命」とさえ言われているサイズW7。5cm×H4。35cm配置位置横11cm、縦2。5cm除振台性能を向上させる制御技術の開発。研究成果は、(財)油空圧機器技術振興財団などから優秀論文として顕彰された博士課程小池雅和君による国際会議での研究発表(Santa Clara University, USA)機械システム⼯学科研究から広がる未来卒業後の未来像千田研究室では、メカや自動車等の移動体、ロボットや人体など、運動する物体の『動き』の解析とモデリング、運動状態の推定と予測、およびその自動制御に関する研究を行っています。そこでは、数学を基礎とした『制御工学』を活用し、新たな付加価値をもたらす技術の創造を目指しています。それらの研究成果は、ハードディスクドライブのヘッドの高精度位置決め、除振台の高精度な振動抑制、人体転倒動作のリアルタイム検知、農業用ロボットの開発など、様々な対象に応用することができ、多くの企業との共同研究を展開しています。『制御工学』は、『動き』のある対象に適用できる汎用の科学技術です。例えば、メカは物理的に動きますが、その意味では人体も同様です。より広く見ると、株価も時間と共に変化するため、動きのある対象と見ることができます。『制御工学』的な考え方は、メカに限らず、このような広い意味での『動き』のある対象(これを『システム』と言います)の動作予測や自動制御を実現するために非常に有用です。このような工学分野は『システム科学』とよばれます。システム科学は、今日のような複雑化した社会における基盤技術として、重要性が高まっています。研究室では、愛情の有る厳しさをモットーに研究指導しています。『大学は、社会人として自立する通過点に過ぎない。社会に出てから困らない程度の自力をつけて卒業できれば、将来の大きな飛躍に繋がる。』というのが、先生の口癖です。千田有一教授(株)東芝研究開発センターを経て、2002年4月より信州大学工学部。制御工学、システムモデリング、信号処理、ロボット工学、システム設計工学と、その産業、農業、福祉医療、などへの応用に関心がある。システムの動きを予測し、意のままに操る。『制御⼯学』の極意を探求ホウレンソウ自動収穫機械(試作3号機)空圧式除振台実験装置9

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