信州大学USRレポート2014-2015
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救急・災害医療の提供 信州大学医学部附属病院は、2014年9月27日(土)正午ごろに発生した御嶽山噴火に伴い速やかに院内災害対策本部を設置し、本災害による傷病者の受入準備と本件に関する情報収集を行いました。休日にも関わらず、院内関係者155名が集まり、重症4名、中等症2名、軽症1名の計7名を受け入れました。 今後も長野県内の災害拠点病院としての機能を最大限発揮すべく、職員一丸となって対応し、緊急時には地域住民のみなさまに質の高い救急・災害医療の提供に努めてまいります。地域保健分野の活動拠点「地域保健推進センター」を開設 信州大学は、2014年4月に保健分野における地域貢献活動推進の拠点となる「地域保健推進センター」を松本キャンパスに開設しました。 地域保健推進センターは、社会から強く求められる健康寿命の延伸、介護予防の推進、高度専門保健医療職者の輩出に応えるべく活動しています。次世代スーパードクター、在宅医療支援リーダーの育成 2014年に文部科学省「課題解決型高度医療人材養成プログラム」に医学部から2件が採択されました。 「難病克服!次世代スーパードクターの育成」では、信州大学が主管校となり、5つの連携大学(札幌医大、千葉大、東京女子医大、京都大、鳥取大)とともに難病の遺伝子医療に精通した幅広い能力をもつ臨床遺伝専門医を育成します。 「実践力のある在宅医療支援リーダー育成事業」では、県立こども病院や相沢訪問看護ステーションひまわりと連携し、難病・がん・重症児などのこれまで対応できなかった患者に対し質の高い在宅療養サービスを提供できる看護師を育成します。安心な妊娠・出産・育児環境の整備 2014年7月に社会医療法人抱生会丸の内病院、(公社)長野県看護協会と助産師出向等に係る協定を締結しました。 特に、丸の内病院と信州大学医学部附属病院との協定では「助産実施能力の強化・教育指導」に重点を置き、相互受け入れを行うことで助産師の質の向上を目指し、長野県の安全・安心な出産環境の整備に貢献します。近未来医療推進センター 「信州から世界へ」をスローガンに、先進医療の更なる推進を目指しています。 先端医療プロジェクトの推進、先端的医療の開発研究と臨床試験の実施、予防医療の研究推進などを実施します。臨床研修の支援体制を強化するため、臨床試験センターを発展的に改組した臨床研究支援センターを設置し、「樹状細胞ワクチン療法」ほか再生医療・移植医療分野など信大独自の研究を支援します。医学部、附属病院を横断的に結びつけ、国内外に近未来の先端医療を発信することを目指しています。膵島移植外来 膵島移植とは、インスリンのみでは十分に血糖をコントロールすることができない、重症1型糖尿病の患者さんに行う治療です。臓器提供者(ドナー)からご提供いただいた膵臓から、インスリン分泌細胞を含む膵島を分離し、患者さんの肝臓の門脈と呼ばれる血管内に点滴で移植します。 2013年9月に日本膵・膵島移植研究会の定める膵島分離・凍結・移植施設認定を取得し、甲信越地方で膵島移植を行うことができる唯一の施設となりました。2014年4月より組織移植再生医療センターを設置し、膵島移植を希望される1型糖尿病患者さんの登録を開始しています。樹状細胞ワクチン療法 厚生労働省の先進医療認定を受けている「樹状細胞及び腫瘍抗原ペプチドを用いたがんワクチン療法」は、がん抗原を標的として、がんを攻撃する免疫を起こさせる免疫療法の一つです。人工がん抗原を覚え込ませた樹状細胞を体の外で大量に作製し、ワクチンとして投与します。医学部附属病院では、膵臓がん、乳がん、肺がん、胃がん、大腸がんの 5 疾患が、適応症となります。先進医療として、年間の樹状細胞療法実施数は国内最多の実績を誇ります。災害時に駆けつけるDMAT DMATとは、災害発生後48時間以内に、県からの要請を受けて被災地に出動し、災害現場や病院などで医療救護活動を行う医療チームのことです。 信州大学医学部附属病院には、総勢32名(医師・看護師・ロジスティクス)のDMAT隊員が所属しています(2014年10月現在)。御嶽山噴火の際には、医師2名、看護師2名、ロジスティクス3名が現地へ向かい、活動拠点本部となった長野県立木曽病院で本部運営や被災者の治療に当たりました。 その他のDMAT隊員も、本院に設置された長野県DMAT参集拠点本部にて県内外13チームの配置調整、情報収集等の支援を行いました。御嶽山噴火の被害を受けた傷病者を除染する様子御嶽山の噴火に迅速に対処するDMATセンター主催の地域住民のみなさま向けの健康講座助産師との面談の様子脳の活動状態をリアルタイムにカラーマッピング表示する脳機能イメージング装置(fNIRS)での測定顕微鏡で見た樹状細胞ワクチン療法安心・安全を守る救急・災害医療医療人育成の充実先進医療の更なる推進膵島移植のイメージ18SHINSHU UNIVERSITY SOCIAL RESPONSIBILITY REPORT 2014−2015社会のみなさまへ(3)

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