理工系研究紹介2015|信州大学
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電気電子工学科耳介近傍の音圧分布を数値シミュレーションで算出。人の耳や頭部の形状が音波に与える影響を予測した無響室(音が響かない部屋)内に設置された音場制御用スピーカアレイシステム。後ろに見える楔の中には吸音材が詰まっている情報⼯学科⼤⾕研究室研究から広がる未来卒業後の未来像大谷真准教授京都大学・大学院了。博士(工学)。富山県立大博士研究員、東北大GCOEフェローを経て、09年より信州大学工学部助教、11年より現職。音の立体再生技術、音のコンピュータシミュレーションの研究に従事。未来の『⾳』再⽣技術-臨場感を創り、実在感を伝える-人の聴覚は、単に音を聞くだけではなく、音に含まれる情報から音源そのもの、そしてその人の周囲の空間の情報を得ています。目を閉じていても、我々が対話相手がいる方向や車が近づいてくる方向を認識することができるのはこのためです。音に含まれるこのような空間的情報を正確に再現することで、あたかも自分が違う場所にいるかのような真の臨場感を伴った音再生技術や情報通信ネットワークを介して相手の実在感をも伝える次世代のコミュニケーション技術を実現できます。他にも、視覚障碍者に音で様々な情報を伝える等、様々な技術に活用することができます。こういった立体的な音再生技術がいつでもどこでも使えるようになれば、例えば、コンサートホールやスタジアムでのイベントにまるでその場にいるかのように遠隔から参加したり、あるいは、遠くにいる家族や友人と、まるで同じ場所にいるかのように話をすることが可能になります。解決すべき課題はありますが、同研究室の学生たちは、こういった未来の技術の実現に向けて日々研究に打ち込んでいます。同研究室で学んだ学生たちは、電機メーカ、音響機器メーカに就職して活躍しています。また、研究を進めるうちに身に着くハードウェア・ソフトウェア技術を生かして、様々な業界で活躍することができます。⼯学部未来Future⻄川研究室機械・ロボット学系西川敦教授大阪大学基礎工学部助手、大阪大学大学院基礎工学研究科准教授を経て、2010年より現職。筋骨格ロボットをはじめとした生物学、医学、機械工学、ロボット学の融合分野に興味を持っている。⼈の⼿の動きを再現するしなやかなロボットに挑戦!手に取り付けたセンサーからのデータをコンピュータで分析することで、パソコン上で指の動きを忠実に再現することが可能になったロボットハンドの基本技術は、空気圧で動く人工筋肉サイズW3.6cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦22.2cm柔らかく握る・掴むというロボットには難しい動作も思いのままサイズW3.6cm×H4.35cm配置位置横14.9cm、縦22.2cm繊維学部研究から広がる未来卒業後の未来像未来Futureあなたが何気なくペンで字を書いたり、お箸を使ってご飯を食べるという行為。そこではさまざまな筋肉が収縮し関節が曲がることで、自然な動作が生まれています。そんなしなやかな人間の手の動きを機械で再現しようとしているのが、西川研究室。空気圧で収縮する数多くの人工筋肉を協調させることで、人の手ならではの巧みで繊細な挙動に近づくようロボット開発の研究を続けています。この研究が実を結べば、工場のさまざまな産業用ロボットを一つに集約することができ、より人間の手に近い義手の開発や、介護用ロボットとしての活躍も考えられます。人の手の動きに近いロボットハンドが現実になれば、内視鏡を自在に操って手術を行ったり、在宅の患者さんを遠隔操作で治療する、といった今までは難しい未来も考えられます。また人気の高いマッサージ師の指の動きを記憶させ、数多くのロボットで再現させるといったことも。「メカはヒトにどこまで近づけるか」が西川先生のテーマなのですが、その技術を生かせる場所は多岐にわたっています。自動車・ロボットなどのメカトロニクス機器を設計・製造するメーカーや、発電プラントなどのエネルギー関係、あるいは、プログラミングをするIT関連への就職等。ロボット工学はあらゆる知識を必要とするので、進路も多彩になります。7

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