理工系研究紹介2015|信州大学
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めっき法によって作製したディスプレイ材料の電子顕微鏡写真。各パターンの表面にはカーボンナノチューブが固定されている写真サイズ高さ4.35cm×幅7.5cm配置位置横11.4cm、縦2.85cmカーボンナノチューブ表面に形成されたパラジウム触媒ナノ粒子。無電解めっき法と呼ばれるめっき手法によって形成写真サイズ高さ4.35cm×幅7.5cm配置位置横11.4cm、縦8.15cmPd (111)5 nm物質⼯学科新井研究室研究から広がる未来卒業後の未来像新井進教授長野県技術系研究員等を経て、2011年より現職。専門分野は電気化学、分析化学。「鉛フリーはんだめっき」や「カーボンナノチューブ複合めっき」等、めっき技術の研究に従事。『ナノ材料』から『電池材料』まで。めっきによる次世代機能性材料の開発⼯学部素材Material伴野研究室⾷料⽣産科学科伴野研究室で開発した赤果肉リンゴ品種‘ハニールージュ’(左)と赤果皮、赤果肉の遺伝子の解析による早期選抜技術の開発(右)自分たちで自ら交配し、種を播き、長年かかって育て、研究を進めることで新しい発見や「新しいくだもの」を創造することに繋がるDNAマーカーを⽤いて『新しいくだもの』を効率的に創る!伴野潔教授京都大学農学部助手、鳥取大学農学部助手、助教授、信州大学農学部助教授を経て、2003年より現職。専門分野は果樹園芸学。ナシやリンゴなどの落葉果樹の栽培、ホルモン生理、育種などに関心がある。赤果肉リンゴを使用した菓子(右)研究から広がる未来卒業後の未来像素材Material農学部新井研究室では電気化学的手法、特に“めっき”による機能性材料の開発に取り組んでいます。“めっき”は現在、パソコン、携帯電話、スマートフォンをはじめとするすべての電子・半導体機器に不可欠なテクノロジーであり、ナノ材料や電池材料等の作製法としても期待されています。研究室ではカーボンナノチューブ(CNT)用いた「金属/CNT複合膜」や「ナノ金属粒子修飾CNT」等の材料を“めっき”により作製し、それらのリチウムイオン電池材料、燃料電池材料、ディスプレイ材料、耐摩耗材料、高熱伝導材料等への応用を検討しています。新井研究室では、めっき技術の可能性を追求しています。めっきはマイクロ・ナノサイズの金属材料作製法であり、様々なナノ金属材料や金属複合材料の開発が期待できます。再生可能エネルギーの実用化に不可欠な二次電池の電極材料、省電力・高画質ディスプレイ用材料、摩耗の少ないコーティング材料、放熱性に優れる材料等、新規機能性材料を提案し企業との共同研究により実用化を目指します。めっき技術はめっき専門企業だけでなく、エレクトロニクス関連企業全般で重宝されています。そのため、卒業後は化学系メーカーだけでなく、家電メーカー、電子部品メーカー等への就職が多いのが特徴です。伴野研究室では、ナシやリンゴの新品種を効率的に育成するためにDNAマーカーを利用した育種法の開発や研究を行っています。具体的には、リンゴでは横枝が出にくく作業の省力化に繋がるカラムナー形質や赤果肉形質を導入した新品種の育成、ナシでは複数の病害に抵抗性を持つ新品種の育成を行っています。その他にも、組織培養によるナシとリンゴの植物体再生技術と大量増殖法の開発、リンゴとナシの属間雑種を利用した効率的選抜育種法の開発、ナシのわい性台木の開発などについても研究を行っています。これまでの果樹の育種は、何千もの交配した実生の中から、10年以上かけてようやく開花・結実してくる個体を育てながら果実形質の良好な系統を選抜していました。現在では、播種した個体からDNAを抽出し、期待される遺伝子やDNAマーカーを調べることで、果実の形質や日持ち性などもあきらかにすることができるようになりました。また、これまでになかったような『新しいくだもの』を創ることで、新しい産業や健康で持続的な社会を生み出すことに繋がります。研究室では、フィールドワークとラボワークを通して農学を実践しながら、互いに助け合うことで社会性を身につけます。卒業後は、公務員、JA等農業団体、食品関連企業などいずれも関連の深い職種につき、全国各地で活躍しています。25

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