理工系研究紹介2015|信州大学
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⾼橋研究室研究から広がる未来卒業後の未来像環境Environmental加藤研究室農学部環境Environmental研究から広がる未来卒業後の未来像加藤正人所長・教授北海道立林業試験場資源解析科長、信州大学農学部助教授、教授、AFCセンター長、を経て、平成26年より先鋭領域融合研究群・山岳科学研究所で現職。世界に向けてオリジナルの森林計測技術で森林を広範囲かつ詳細に半⾃動で解析森の基本情報:どこにどんな木がどれだけあるか?樹木を1本ごとに色分けした。木の本数、樹冠の大きさ、樹種、位置、混み具合がわかる森の診断:ヒノキの間伐地選択とヒノキの位置ヒノキ●の配置と本数が一目瞭然間伐の優先順位→濃い緑高橋伸英教授東京大学で博士号を取得後、信州大学繊維学部助教、准教授を経て、2014年より現職。専門は化学工学、環境工学。研究コンセプトは「CO₂+水+土+太陽+知恵+技術→幸せ」。繊維で温暖化防⽌!排ガスからCO₂を分離回収中空糸膜によるCO₂の吸収度合を比較検討するため、その過程を分析する。この吸収・放散装置は学生自身が設計し、実験を行っているサイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cmサイズW3.6cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦22.2cm膜の細孔の大きさや表面の形状がCO₂吸収に及ぼす影響を調べるバイオマス由来の新規吸着剤の開発・研究も行っているサイズW3.6cm×H4.35cm配置位置横14.9cm、縦22.2cm化学・材料系繊維学部森林科学科信州は日本アルプス、木曽ヒノキ、浅間カラマツなど日本を代表する自然に囲まれた森林研究の最適地です。加藤研究室では、森を見る目を育てるために恵まれた森林を対象に、体系化された計測技術とノウハウを活かし、森林の状態や質、資源量など「森林の情報」を把握します。その上で、どうすればその森林が「より良くなり、理想の森になるのか」考えます。オリジナル技術を生かし、研究室の学生を連れて“森と湖の国、フィンランド”で世界の研究者たちと交流し、国際共同研究を始めています。森林資源とセンシングに関する世界的な研究拠点づくりとグローバル人材育成に力を入れています。森のようすを調べるには、次の2つのことを組み合わせるのが一番です。1鷹のように、上空から広い視野で見る2蟻のように、地上で樹木に触れながら森を調査する空と地上から森林の様子を広範囲に鋭い目でセンシングすることで、森の基本情報と診断を行い、森をどうしたらよいか、計画や管理に役立てます。独自の技術を持つことで、森を見る視野が広がり、就職にも強い武器となります。卒業後は林野庁と都道府県の森林管理者、民間では航空測量やコンサルタントの研究員として活躍しています。地球温暖化防止のために欠かせないのが、CO₂の削減です。大気中に排出されるCO₂の半数近くは、火力発電所や大規模工場等からの排ガスによるもの。こうした中、高橋研究室では排ガスからCO₂のみを分離回収する新たな技術を研究しています。これは筒状の中空糸膜の内側にCO₂と反応する吸収液を流すことで、外側の排ガス中からCO₂のみを吸収するというもの。実はCO₂を貯蔵するまでの過程の中で、コストの大半を占めるのは分離回収の段階なのです。この技術が実現すれば、より低コストな分離回収が可能になると期待されています。化学プラントメーカーや水処理技術の会社への就職がある一方、授業や研究室で身に付けた化学工学の知識と技術、そして幅広い視野は様々な業種で活かすことができるため、就職先は多岐にわたっています。このCO₂分離回収技術以外にも、高橋研究室では乾燥地での植林や、木質バイオマスを固形燃料に変換する際の効率的な方法などを研究中。一見、全く違う研究を行っているように感じられますが、どれもが環境問題やエネルギー問題の解決に即効性があり、地球温暖化防止に貢献するためのもの。ヒトが生きていく限り生み出されるCO₂。それをいかに抑えるかは、あらゆる分野で考えなければならない課題です。23

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