理工系研究紹介2015|信州大学
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応⽤⽣命科学科農学部⾃然・⽣命Nature真壁研究室真壁秀文教授日本学術振興会海外特別研究員を経て1999年6月より信州大学農学部。顕著な生物活性を持つ天然有機化合物の合成と活性、生命現象の解明を目的としたケミカルバイオロジー的研究に関心がある。(写真)プロシアニジンB3とプロデルフィニジンB3の前立腺癌細胞を用いた抗腫瘍活性試験B環にある1つの水酸基の存在が活性に重要である(写真一枚or複数枚組み合わせ)有機化合物の構造決定には核磁気共鳴スペクトル(NMR)が不可欠OHHOOOHOHOHOHHOOOHOHOHprocyanidinB3OHHOOOHOHOHOHOHHOOOHOHOHprodelphinidinB3ACB活性無し活性ありNMRによる構造解析有機合成化学の⼒で⽣命現象を探るーケミカルバイオロジー研究から広がる未来卒業後の未来像機械システム⼯学科⼯学部⾃然・⽣命Nature吉野研究室毎年数台の計算機を作成し、負荷が高い計算にも対応している。学生主導で、部品選定からOSのインストールまで行うサイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cm計算結果の例。多孔質内の浸透現象の解析(左上図)、スロート部を通過する赤血球の変形の様子(左下図)、脳動脈瘤モデルの血流解析(右図)サイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦7.8cm研究から広がる未来卒業後の未来像吉野正人教授京都大学大学院工学研究科博士後期課程修了。2000年信州大学工学部助手に着任。2012年より現職。格子ボルツマン法を中心とした計算熱流体力学、移動現象論の教育・研究に従事。ミクロな世界の流れを『コンピュータシミュレーション』によって解明!吉野研究室では、流体や熱・物質の流れをコンピュータシミュレーションによって解明する研究に取り組んでいます。近年、計算機のめざましい発達のおかげで、これまで調べることが難しかったミクロな世界の流れを精度よく解析することができるようになってきました。特に、『格子ボルツマン法』というパワフルな計算手法を用いて、固体壁面上の微小液滴の挙動や小さな空隙をもつ物体内の熱流動現象など、主に『マイクロフルイディクス』(微小スケールの流体力学)の研究を行っています。さらに最近では、本学医学部と共同して血流などの生体流れの研究も行っています。吉野研究室では、シミュレーションに用いるソフトウエアを学生が自作で構築しています。一方企業では、時間的な制約から市販の汎用コード(既製品)を使うのが一般的ですが、特にマイクロフルイディクスなどの分野においては、実現象を正確に模擬していないといった問題点がよく聞かれます。そのため将来的には、得られた研究成果を集大成し、企業の方々にも満足のいく汎用ソフトウエアを開発・製作することを目標としています。自動車関連産業への就職が多く、家電メーカや重工、精密機器を扱う企業などにも卒業生を輩出。自分の専門分野にとどまらず、新しい領域の課題解決に意欲的な研究者・技術者として様々な分野で活躍しています。真壁研究室では、抗腫瘍、動脈硬化抑制活性など生活習慣病の予防や治療に関係する「顕著な生物活性を持つ生理活性物質」の合成や創製に取り組んでいます。有機化合物は人間が加工できる最も小さい精密な構造体です。有機合成化学の手法を用いて標的化合物を自在に合成する究極の物づくりを行っています。生理活性物質はごく微量で生物の行動や機能を制御しており、生命現象の鍵を握る存在です。私たちは生理活性物質の活性発現の仕組みや構造活性相関の解明、高度に機能化した分子プローブを創製することで生命現象を解明し、農薬・医薬への応用を目指しています。私たちは有機合成化学の立場から、生命現象をたどり、優れた医薬品や機能性物質を作り出すための基礎研究を行い、人類の健康に寄与することを目指しています。研究の過程では新規反応の開発も行っており、有機化学の発展にも貢献することを心がけています。生命現象には様々な有機化合物が関わっています。本研究室では顕著な抗腫瘍活性を持つ天然有機化合物の合成を行ってきました。その化合物を用いて学内、学外の研究者と活性発現のメカニズムの研究を展開しており、癌を克服すべく研究に励んでいます。有機合成化学実験を通して有機化合物の取り扱い、性質、精製方法が身につきます。また、自ら立案し試行錯誤を重ねながら研究を進める力を養うことが出来ます。卒業後は化学会社、製薬会社、食品会社等で活躍出来る人材になります。18

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