理工系研究紹介2015|信州大学
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森林科学科農学部⾃然・⽣命Nature泉⼭研究室研究から広がる未来卒業後の未来像泉山茂之教授2006年信州大学農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究センター准教授、2010年より現職、研究分野は哺乳類学、野生動物管理学。(写真一枚or複数枚組み合わせ)過酷な山岳環境に生息する野生動物の長期研究を進めている人間と野生動物とのよりよい関係を目指して努力を続けているニホンザルは、なぜ槍ヶ岳を⽬指すのかー過酷な⼭岳環境を⽣き抜くー理学部境研究室⾃然・⽣命Nature数理・⾃然情報科学科研究から広がる未来卒業後の未来像埋め込みの諸相–⾼次元の図形を『⾒る』には『結び目』の例。多様な絡まり方は、三次元空間の性質を反映している。(図は“knotatlas”より)サイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cm『射影平面』という図形を三次元空間に実現した図で、『Boy曲面』と呼ばれる。射影平面の性質により『自己交差』が生じる。このようなものは『はめ込み』という(図は“SketchesofTopology”より)サイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦7.8cm境圭一助教東京大学大学院数理科学研究科博士課程修了。学術振興会特別研究員などを経て、2011年より現職。専門はトポロジー。中部山岳地域の山岳環境保全を目的として、野生動物の長期生態研究を実施しています。生息条件が厳しい高山・寒冷環境下において、野生動物たちがどのような手立てで生きているのかを明らかにするための研究を行っています。人間と野生動物との、より良い関係を目指して、野生動物の保護管理への取り組みと、農林業被害防除技術の普及を行っています。野生動物による農林業被害の軽減のため、研究成果をもとに、防除技術の普及に取り組んでいます。公務員、博物館、教員、測量・コンサルタント、JA上伊那、民間(木材)、大学院進学など、大自然と真っ正面から向き合う仕事ばかりです。豊かな自然環境に恵まれた日本アルプスを調査・研究の拠点とし、生息環境が厳しい寒冷・高山環境に生息する野生生物についての長期にわたる基礎的な生態研究と、グローバルな気候変動や自然環境の変化による、陸上生態系の推移の把握と、将来の予測を行います。さらには、中部山岳地域における調査・研究を核としつつ、アジアや地球規模での山岳における調査・研究との比較や、共同研究を進めます。境研究室では『幾何学』を研究しており、テーマは『多様体』と呼ばれる図形の『埋め込み』です。埋め込みのもっとも代表的な例は『結び目』です(右上図参照)。このように、図形を(高い次元の)空間内に実現するのが『埋め込み』です。輪が様々な絡まり方をする理由は、我々の住んでいる三次元空間の性質にあります。幾何学で研究される図形の多くは、輪より複雑でわかりにくいのですが、例えば三次元空間のようにわかりやすい図形に埋め込むことで、その図形が『見える』ようになり、様々な性質がわかるようになります。4次元、5次元、…といった高次元の『図形』は、決して夢物語でなく、素粒子論の世界などでは実態を伴って研究されているものです。我々の目には見えない高次元の世界を『見る』手段の一つとして『埋め込み』は有効です。さらに、個々の埋め込みは互いに関連しており、その関連を利用することで、全く新しい図形を生み出すこともできます。こうして幾何学の世界がどんどん広がっていきます。社会を支える科学技術、その基礎の一つが数学です。筋道を立てて考える能力を生かして、システムエンジニアなどとして活躍している人もいれば、中学・高校の教員となっている人もいます。16

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