理工系研究紹介2015|信州大学
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理学部島野研究室⾃然・⽣命Nature物質循環学科研究から広がる未来卒業後の未来像⾃然環境を知る。⾃然環境を護る。島野光司准教授千葉大学大学院にて博士号を取得後、横浜国立大学、電力中央研究所、国士舘大学非常勤講師等を歴任後、2002年に信州大学助教授。専門は森林を中心とした植物生態学。信州の豊富なフィールドで実習、調査、研究ができるのが信州大学の強み。学部生の研究が出版される研究になることも地域の植物がどんな動物に利用されているかを知ることも生態系を知る上で重要。コオニユリを吸蜜するミヤマカラスアゲハ野外からのきのこ遺伝資源の収集、組織分離培養、遺伝資源の保存・評価・育種などの過程を経て、優良菌株を選抜している4年生は各自の研究テーマに沿って実験を進めている(左)実験の例:プロトプラストの作出(右上)、DNA多型解析(右下)自動収穫機によって根が均一に切断されたホウレンソウ福田正樹教授財団法人日本きのこセンター菌蕈研究所を経て、1991年1月より信州大学農学部に勤務。主な研究分野は、きのこ遺伝育種学。きのこの潜在能⼒を最⼤限に引き出し、「きのこスーパー系統」の開発をめざす応⽤⽣命科学科福⽥研究室2.組織分離培養1.きのこ遺伝資源の収集5.優良系統の選抜3.きのこ遺伝資源の保存4.遺伝資源の評価と育種50 μm農学部⾃然・⽣命Nature研究から広がる未来卒業後の未来像これまで人間は自然を利用し、文明を発展させてきました。しかしその一方で、過度な自然の利用などで、自然を壊しつつあるという側面もあります。人間が自然とうまく付き合っていくには自然環境仕組みを知る必要があります。物質循環学科では、地球が、自然がどのように成り立っているかを明らかにする研究を行っています。こうした中で、植生・生態研究室では、森林や草原、湿原などの植物がどのように生活しているのか、更にそうした植物たちが、どのような動物たちを養っているのかといったことを明らかにし、自然の摂理とその守り方を追求しています。日本人は、古来より自然とともに、自然に生かされながら生活をしてきました。我々を取りまく自然の成り立ちの仕組みを知っていけば、人は自然とうまく付き合っていくことが可能でしょう。植物の生き方を明らかにし、それを利用する動物の生態を明らかにしていけば、地域の生態系の仕組みを知ることができます。自然を、地球をまもるためにはその成り立ちを知ることが第一歩なのです。卒業生の中には、大学で学びを活かした専門職についた人も多くいる一方、一見、大学で学んだこととは関係ない職業についた人もいます。しかし、大学で学ぶということは、人とのかかわり方、問題の発見・解決能力、幅広い教養などを身につけることでもあります。そうした能力は、社会に出て、どのような場面でも生かされます。きのこは、抗腫瘍活性を示す物質や血圧降下物質など様々な生理活性物質を含んでおり、従来の嗜好性食物としてだけではなく、薬理効果の高い機能性食物としても注目されています。福田研究室(応用きのこ学研究室)では、我々にとって有益なきのこを効率よく利用するために、生命科学の知見や技術を基盤にして、きのこ遺伝資源の評価やバイオテクノロジー技術を利用したきのこの育種技術の開発研究などを行っています。これらの研究は、きのこ産業で求められているニュータイプきのこの開発や高機能性きのこの育種に繋がります。長野県は食用きのこの生産量が日本一(全国生産量の約1/3)で、様々な種類の食用きのこが生産されています。このような背景からも、新たな特性を保有したユニークなきのこ品種を今後も開発していくことが重要です。現在の研究は、食用や機能性食品素材としてのきのこの価値を向上させるためのものですが、きのこの難分解性物質分解能力や発酵能力などに着目して育種を行えば、バイオリメディエーション(汚染物質分解による環境修復など)やバイオマス返還(きのこを利用したバイオエタノール生産など)にも応用できます。卒業生は、きのこ関連産業だけではなく、食品産業など応用生命科学科の一般的な就職先で活躍しています。研究室での活動を通して身に付けた考察力、問題解決能力、プレゼン力などが社会に出ても役立っているようです。大学院に進学して、研究を継続する人も多くいます。13

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