理工系研究紹介2015|信州大学
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中垣研究室応⽤⽣物科学系研究から広がる未来卒業後の未来像中垣雅雄教授信州大学繊維学部助手、助教授を経て、1999年より現職。研究分野は昆虫の遺伝学や病理学、資源分子昆虫学や応用昆虫学。カイコにクモ⽷を作らせよう!強いクモ糸でクモの巣を作るジョロウグモ(左)ジョロウグモのクモ糸を含むシルクで試作した靴下(中央)クモ糸を含むシルクを吐くカイコ(右)クモ糸遺伝子を注入するためのカイコの卵を並べている⾃然・⽣命Nature繊維学部遺伝子組換えに使うDNAを抽出している実験(左)と無菌的なクリーンベンチ内で微生物を単離する大学院生(右)写真サイズ高さ4.35cm×幅7.5cm配置位置横11.4cm、縦8.15cm遺伝子組換えによってキノコのセルラーゼを生産するコウジ菌写真サイズ高さ4.35cm×幅3.6cm配置位置横15.3cm、縦2.85cm蛍光タンパク質によって可視化した植物細胞壁中のセルロース物質⼯学科野崎研究室野﨑功一准教授北海道大学で博士(農学)を取得後、信州大学助手を経て、2005年より現職。青森育ちで自然と田舎をこよなく愛する。専門分野は、生物化学、遺伝子工学。微生物酵素の基礎と応用研究を行う。微⽣物に学ぶバイオマスの分解と利⽤!〜遺伝⼦組換え技術による酵素の⽣産と改良〜野﨑研究室では、自然界に生息する微生物から有用な酵素を見つけ出し、バイオマスの分解と利用に活用する研究を行っています。バイオマスは再生可能な資源であり、主に微生物の酵素によって分解されています。この分解システムは、生物が長い進化の過程で獲得してきた効率的なものです。人類がこれををうまく利用するためには、必要な酵素を取り出し、大量生産し、さらには活性や機能、安定性を上げることによって、目的の化学反応に適したものに改良する必要があります。我々とともに微生物がもつ未知の機能を探索し、バイオマス利用の可能性を追求してみませんか。微生物の種類は無限大、しかもそのほとんどは未知の生物です。この中には人類にとって有用な酵素を生産しているものもいるかもしれません。野﨑研究室では、微生物のバイオマス分解酵素の生産性を上げたり、遺伝子組換え技術によって酵素を改良する研究を行っています。酵素は温和な条件で、ある決まった反応だけを正確に進行させます。バイオマスと酵素は、環境調和型の化学プロセスを実現する上でますます重要な役割を果たすようになるでしょう。酵素の利用分野は、化学、医薬、食品、農業、繊維や環境など多岐にわたっています。また、同研究室で習得できる実験技術は、化学系や生物系などの企業で活用できます。より高度で専門的な研究を行うため、修士課程や博士課程の大学院に進学する学生もいます。⼯学部⾃然・⽣命Nature研究から広がる未来卒業後の未来像クモの糸は、世界最強の繊維として注目を集めています。クモの糸で軽くて着心地のよい防弾チョッキを作ることも出来ます。クモ糸の量産を難しくしているのは、クモの大量飼育が困難なためです。クモが餌として生きた虫を食べ、共食いするので、大量飼育が困難なのです。カイコは絹を効率よく作る生き物です。中垣研究室では、遺伝子操作によって、クモ糸遺伝子をカイコのゲノムDNAに組込みました。そして、クモ糸をカイコに作らせることに成功しました。現在、絹糸にクモ糸が混ざったシルクを吐くカイコの育成を進めています。クモ糸は軽くて強いうえ、生物分解で容易に無害化できる生体適応型、環境保全型の新しい繊維素材・産業資材として世界中で注目されています。中垣研究室では、靴下メーカーと協力してクモ糸を含むシルクで靴下を試作しました。クモ糸は衣料分野だけでなく、産業資材として医療・軍事分野での応用、航空機・車体・スポーツ用品などへの応用、食品・化粧品としての利用なども期待されています。食品会社、製薬会社、化粧品会社、繊維会社、医療や環境分野の分析・検査会社などで活躍している卒業生が多いです。公務員・教員になった卒業生もいます。大学院に進学して卒業後、研究機関や大学での研究に従事した卒業生もいます。12

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