2014環境報告書|信州大学
8/56

信州大学名誉教授[元工学部環境機能工学科教授]池田 敏彦研究領域 流体力学・流体計測・噴流・環境融和型ナノ水力発電(エコ水車)の開発1971年信州大学工学部助手。工学部教授を経て、2012年より名誉教授・特任教授(研究)。定して流れているという条件や、発電した電力を公共性が高い形で活用できるという用途(日常的には公衆トイレの照明など、災害時には非常用電源)の面から、この小赤沢地区に決定しました。この地形に最も適合する発電装置として、クロスフロー水車を選択しました。 クロスフロー水車は、ガイドベーン開度を調節することで、水源の流量の変化にも対応できるのが特徴です。 信州大学では、クロスフロー水車の他にも、一般河川用としてサボニウス水車や、小流量でも比較的落差のある場所に適したジェット水車、浅くて速い流れに適した急流工水車、農業用水の段差を活用する滝用水車など、様々な小水力発電のユニットを既に開発してきていました。こうした長年の研究成果の蓄積があり、今回スタートした社会実装の実証研究が可能となりました。■水資源活用のハードル水利権の問題 河川等の地表水を利活用するには、水利権だけでなく、農地法や森林法など様々な法律が関わっており、それを一つひとつクリアしていかなくてはいけません。それぞれ省庁が違い、手続きが非常に煩雑です。これは、実装実験を進める中で分かってきた課題です。 総合的な視点で水力利用を俯瞰し、これまで見えていなかった部分を明らかにした上で、マニュアル化していくことが、地表水の利用を推進することに繋がります。 現行制度では、水資源の利活用の歩みのスピードアップが難しい。 各省庁へ個別に申請するのではなく、ワンストップで小水力発電の申請ができる仕組み作りを目指します。■水力発電の技術的ブラッシュアップ 長期的に水力発電を運用するためには、技術面においても継続的にブラッシュアップしていかなくてはなりません。自然環境の中で実際に長期運用することで生じる様々な問題を具体的に解決していくことで、発電装置がより実用的なものになります。 例えば、栄村は日本有数の豪雪地帯であり、冬場の積雪により装置が動かなくなる危険性もあります。この問題をどう解決するかなども重要な研究テーマになります。信州型水マネジメントモデルを探るRISTEX研究プロジェクト信州大学RISTEXプロジェクトレポート信州大学[元工学部池田 として、クロスフロー水車を クロスフロー水車は、ガイを調節することで、水源のも対応できるのが特徴です。 信州大学では、クロスフにも、一般河川用としてサや、小流量でも比較的落差適したジェット水車、れに適した急流工水の段差を活用すど、様々な小水力特 集7

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です